このブログで、いろいろな窯元のうつわなどやきものを紹介してきました。
今日は少し種類による使い方を書いてみたいと思います。
「やきもの」は、その原料や焼成温度によって以下の4つに分類されます。
①土器
粘土から作られ、焼成温度は800度前後。
吸水性が高い。叩いても音はほとんどしない。(というか叩いたら割れそう。)
用途は縄文土器や弥生土器。
②陶器
粘土から作られ、焼成温度は1000度〜1300度。
吸水性が高い。叩くと濁った音。
用途は植木鉢や食器。
唐津焼、小鹿田焼など。
③せっ器(火偏に石と書きます)
粘土から作られ、焼成温度は1200度〜1300度。
空気は通すが、水は通しにくい。叩くと硬い音。
用途は甕、タイル、食器。
備前焼。
④磁器
陶石から作られ、焼成温度は1300度〜1400度。
ガラス質に覆われるため、空気も水も通さない。叩くと澄んだ音。
用途は食器。
有田焼、砥部焼。
皆さんのお気に入りのうつわも、このどれかに当てはまります。
名前は別に覚えなくてもよいのですが、気をつけたいのが、使い始めと電子レンジと高温調理。
(いずれも土器は省略します。)
まず、使い始めです。
陶器とせっ器は、表面の釉薬を通して水分が染み込むので、だんだんと調味料などが染み込んで、シミができたりします。
それを防ぐために、使い始めは土鍋などはお粥を炊いてください。それ以外のうつわは、お鍋にお米の研ぎ汁と生米も少々、それでうつわをぐつぐつと煮て、沸騰したら火を止めて、そのまま自然冷却。そうすることで、目に見えない隙間に、お米の糊成分が入り込み、シミができにくくなります。
窯元で買うと、煮込み方の紙をくださったりしますので、聞いてみてください。
磁器はそのまま使って大丈夫です。
電子レンジは、基本は磁器のみ大丈夫と思ってください。
とは言え、どうしても使う機会が出てくるのが、私たち現代人。
電子レンジは、そのものの中の水分を高速で振動させて超高温にして温めるもの・・・なので、陶器やせっ器のうつわに入り込んでいるわずかな水分が高音になって割れたりします。なので、長時間はレンジにかけない、水分は拭き取ってから、など工夫をしてください。
それでも、頻繁に使っていると、だんだんうつわの形が歪んできたりしますので、覚悟の上で。
「二度と手に入らないから絶対嫌!」というものはレンジにはかけず、他のうつわで温めてから、移すなどで乗り切りましょう。
あとは、高温調理。
どのやきものも、普通の火よりは焼成温度が高いのですが、土鍋やグラタン皿など「火にかけれる」とされているもののみ、直接火にかけてください。
鍋ではないものを火にかける方はあまりいらっしゃらないと思いますが、何度か聞いたことがあるのが、アロマポット替わりにお気に入りの豆皿なんかを使われるケース。
アロマオイルを垂らして、下からキャンドルで温めたりされると、割れることがあります。
オイルは油なので、温めると100度以上になり、素地に染み込んだ油が高温になって膨張して割れるのです。
あと、小鹿田焼なんかは、素地に元々不純物が多いので、それが元で割れます。(その不純物が小鹿田の味なんですが・・・)
以上、今日は使い方のお話を書いてみました。
お気に入りのうつわは、適した使い方で、長く愛用したいですよね。
煮込み準備中のうつわ。
左は小石原焼なので陶器、右は有田焼で磁器です。