一年に一度、それもごく短い期間だけ。
全ての季節の花たちは、その長短はあるものの、会えるのは一度限り。
毎年、来年は果たして会えるだろうか、会えないだろうか、と
我が命との接点に思いを巡らしながら、見送ってきました。
齢93歳ともなると、確とした命の保証は皆無にひとしく、
全くの運任せの命なのですから。
小山の高木に蔦を伸ばしながら這いあがっていく野ばら。
樹林の薄暗さの中から浮き出す白い点描のような姿は、格別心に滲み渡ります。
今年も会えたという感激で、立ちつくします。
来年は、という思いが少し弱まってきたのを振り切って眺めています。
Aurevoir と言おうか。
それとも Adieuと言おうか。
(注 フランス語で Aurevoir は サヨナラ の一般的表現で意味も再会。
一方、Adieu はスイス地方で使われるサヨナラの一種。
Aは許で、Dieu は神、即ち神様の許で)