昨年、27年ぶりに学生王座に返り咲いた日大アメフト部が大揺れである。

大学時代、アメフトをした端くれとしては、黙って見ていられなくなった。

 

日大、関学といえば、言わずと知れたアメフト界の東西の両雄。

九州でプレーしていた身にとっては、別世界の人々だった。

私が大学4年の春、初めて関西遠征を行い、当時関西1部上位だった神戸大と練習試合をした。

当時は西宮スタジアムがまだ健在で、関西1部同士の試合の前座として招かれることになった。

人工芝での試合が初めてで、専用のシューズを買ったことがうれしかった(当時、九州には人工芝のフットボールグラウンドがなかった)。

ダブルスコアで敗れたのだが、ある程度の手ごたえを感じたのを覚えている。

それは私が卒業した翌年、後輩たちが九州を制覇し、中四国代表との決定戦も勝ち上がったことに結実した。

ただし、それ以来、既に四半世紀が過ぎたが、いまだに九州のチームが学生ナンバーワンを決める甲子園ボウルにコマを進めたことはない。

まだまだレベル差はある。

 

前置きが長くなって恐縮だが、それほど両校はフットボール後進地域のプレーヤーにとっては憧れの存在なのだ。

それが今回の「事件」である。

 

私は解説する立場でもないし、そんなレベルの選手でもなかったが、反則を犯したDLの選手が明らかに故意であるのは分かった。

アメフトを経験した人間なら、誰でも分かる。

パスを投げ終わったQBの、それも背後から。

報道によると、プレー終了から2秒も経過している。

おそらく審判のホイッスルも聞こえていたはず。

日大なら、おそらく高校時代からプレーしていた選手が大半であり、QBがパスを投げ終わったことなど、プレー中でも一目瞭然である。

走ってきた勢いを止められずに、タックルしてしまったというわけでもない。

 

監督の指示云々が言われているが、直接的なものはなかったのかもしれないが「相手をぶっ潰せ」ぐらいの檄は飛んでいたと考えても不思議ではない。

昨今は腕力に任せて指導できないご時世であるので、となると言葉で選手を追い込むということは往々にして考えられる。

それを曲解して表に出してしまったのだろうか。

 

アメフトのようなコンタクトプレーの競技は、自分の力量と相手の力量はファーストコンタクトである程度、分かる。

私もそうだかったが、常に接触が生じるラインのようなポジションだとなおさらだ。

左のOTだった私は必ずトイメンの選手(DT)がいて、試合中はまずはそいつとの戦いになる。

ファーストコンタクトでオーバーパワーしていることが分かると、大概、試合中は優位に立てる。

精神的な面でもそれは大きい。

 

ただし、それだけで終わらないのがアメフトの面白いところでもあり、それはベンチの力になる。

1対1では敵わない相手でも、作戦次第では勝てることもある。

 

日大といえば、故篠竹監督のスパルタ指導が有名。

私の中学時代の同級生が日大アメフト部の選手と付き合っていたのだが、デート中でも何かあると部に呼び出されたり、大学生になっても私生活まで縛られるような感じだったという。

ただし、反則がひどかったということは全く聞いたことがない。

当時の日大は反則しないと相手を潰せないなんてこととは対極の、それほど圧倒的な強さを誇っていたからだ。

 

アメフトでの怪我は極端にいえば、生死にかかわる重大なものにもなりかねない。

ヘルメット、ショルダーなど防具はあるのだが、背骨付近の背後には通常、防具はつけない。

背後からのタックルは最も危険な反則の一つである。

脊髄損傷など一歩間違えれば半身不随、最悪、死亡事故にもつながる。

 

今回の事件でアメフトが危ないスポーツというレッテルを張られるのだけは避けたい。

いい話題で取り上げられることを願っている。