「ひとりになっちゃった。一緒に行ってくれる?」

その言い方が、少しだけ甘えていて、少しだけ寂しそうで。
今日の空気は、その一言で決まった。

午後の梅田を並んで歩く。
ポケモンの画面より、横で歩くひいちゃんの歩幅のほうが気になる。

「ゆかちゃんって子、歌うまいねん。路上で歌っててさ」
何気なく言ったつもりだった。

ひいちゃんの足が、ほんの少しだけ止まる。
「……歌には全然ついていってないよ」
「前に推しって聞いてたから、大丈夫よ」

大丈夫と言いながら、首を横に振っていた。
その仕草が、言葉よりも正直だった。

風の音と、ひいちゃんの呼吸だけが聞こえる。
そのまま、僕らはまた歩き出した。

あの日の午後は、ただそれだけで濃かった。