今年は、兵庫県の明石市と淡路島を訪れました。
明石市は、柿本神社に詣でました。このお社には、歌聖柿本人麻呂が祀られています。言葉や調べを大切にしたい者には、尊い場所と言えるかもしれません。
僕は高校時代、日本の古典に嫌気がさしていました。いま思うと非常に浅はかでしたが、特に古文は死んだ文芸に思われて、それを愛好する者が屍肉に群がる烏のようにも感じたことでした。
しかし、柿本人麻呂の次の歌に出会って、古典に対する気持ちを改めるようになりました。
ひむがしの野にかぎろひの立つ見えて
かへりみすれば月傾きぬ
この歌が大きかったです。
これは今から1200年以上前の和歌ですが、時を超えて、高校時代の僕の胸に光景が大きく広がったのです。
ああ、古典は生きているのだなぁと思い至ったのでした。
いい古典はやはり今も輝きを帯びているのです。
以前のブログに書きましたが、新海誠監督が「君の名は。」の着想を平安時代の「とりかへばや」物語と小野小町の和歌から得たように、読み継がれた古典は今も息づいて様々なコンテンツの源泉になっています。
柿本人麻呂のしらべと情感は、現代のJpopの歌詞にも流れ込んでいることでしょう。僕はそんな流れを掬いたいものだと念願しています。
石段を登り門をくぐって境内へ。社殿前に佇んで気が引き締まりましたよ(^_^)