帝国の政治の腐敗に失望し、暗殺部隊を抜けて、革命軍側に身を投じたのですが、アカメが革命軍側の間の者として、必死の剣で、斬ったもの、それは、人間の醜い欲望でした。
「アカメが斬る!」には、残虐な者、良心を持たぬ者、欲望過多の者、異常性愛の者など、読む者がおぞましく感じるキャラクターがこれでもかというくらい多数登場します。また、無辜の民が、罪なき誠実な人々が命を落としていきます。
そして、読む者は回を重ねるにつれて、そのキャラクターがもち合わせる欲望は、実は多くの者の心の奥底に潜む「シャドウ」でもあるのだと気づくかもしれません。
自分の気ままに帝国を操ろうとする者は、自分のクラスや職場を思い通りにしようとする思いが拡大したものかもしれません。
狙いをつけた異性を自分の愛妾にしようとするのは、日々見かけながら手が届かないあの異性との邪な想像を描く姿の変形かもしれません。殺人にまで連なる嫉妬は、後輩へのジェラシーが肥大化したものを示しているかもしれません。
邪悪な者たちをアカメが切り捨てる時、あなたは溜飲を下げる事でしょう。
そしてそれは、あなたが俗悪な欲望はやはり討たれるべきだという倫理観が胸に息づいている証左でもあるのです。
アカメが斬るもの、それは僕自身だとある時、感じました。
そして、義憤を蘇らせるのもまた、アカメの斬撃でした。
あなたは、アカメが斬るものに何を見つけることでしょうか?