暗闇を体現する存在あればこそ~アニメ「ソードアート・オンライン」を見終えて その5~ | みかんともブログ

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闇の深い悪が存在すればこそ、ヒーロー・ヒロインもいっそう輝く。

アニメ「ソードアート・オンライン」を見終えた感想の1つです。
そして、深い闇を持つ悪は、高貴さを持つ者と下劣極まりない者が分けられるということも改めて思ったことでした。
前編のアインクラッド編では茅場昌彦(かやば あきひこ)という非情な天才プログラマーがラスボス的存在です。彼は自分の願望をかなえるために自分が開発したバーチャルリアリティゲームに参加した人々を、その世界に隔絶しゲームをクリアしない限り現実世界に戻れないという状況を突きつけるのです。しかも、ゲーム内での死は即、現実世界の死を意味します。茅場の狂気を砕くため、主人公キリトやヒロインのアスナは戦い続けるのです。そして、茅場の正体を見破ったキリトは一対一での勝負を受け、その結果を受けてアインクラッドは崩壊します。
茅場昌彦は他者を自分の願望の犠牲にはしましたが、公正さと高貴さは持ち合わせていました。
キリトとの一対一のゲームでは、自分に有利な設定を停止し、実力のみで勝負します。
敗北すると約束を守り、アインクラッド内の参加者を現実世界に戻し、潔く消えていきました。
先ほどふれた高貴さを持つ悪です。
一方、後編のフェアリ・ダンス編に登場する須郷伸之(すごう のぶゆき)は下劣な悪です。
「ソードアート・オンライン」の維持管理を担当する自分の立場を利用し、アスナを現実世界に戻さず、ベッドで眠り続ける結城明日菜(現実世界のアスナ)との結婚をその父親の信頼を利用して、強引に進めます。しかも、「アルヴヘイム・オンライン」という妖精の世界をゲーム化したバーチャル空間で、自分は妖精王として君臨し、アスナを鳥かごに閉じ込め、深い関係を迫るのです。卑劣ですね。
特に最終の場面では、瀕死の状況のキリトの前で鎖で拘束されたアスナを辱めようとします。
見ながら本当に下劣なキャラクターだと強い憤りを覚えました。茅場昌彦のような高貴さをひとかけらも持ち合わせていません。

しかし、だからこそキリトのひたむきさや誠実が一層輝くのでした。アスナの気高さもきらめくのでした。そんなキリトが自称妖精王を完膚なきまでに叩きのめした時、僕自身も大きな歓喜を覚えました。原作者のドラマ作りのうまさをとても実感しました。
ネタバレ風になってしまいましたが、輝く主人公やヒロインには、やはり暗闇を体現する巨悪、下劣極まりない悪、そんなシャドウ((影)が必要なのだということを「ソードアート・オンライン」は改めて教えてくれました。
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