アニメの傑作には「価値観」がそれほど深くなくて楽しいもの、「価値観」が深くて面白いものがあるように感じます。
好きな作品で言えば、前者の代表が「僕は友達が少ない」としたら、後者の代表は最近のアニメなら「蒼の鋼のアルペジオ」かなと僕なりに位置付けています。
「ソードアート・オンライン」はまさしく後者です。
原作者である川原礫(かわはら れき)さんの、時代に即した、そして普遍性のある、深いメッセージが伝わってきます。
リアル、バーチャル、いずれの世界に在っても、誠実であることの大切さ。
そんなことを思わせる、場面やセリフが少なからずありました。
主人公キリトと最後まで信頼しあえたキャラクターたちは、ヒロインのアスナをはじめ、やはり誠実さを持ち合わせた人々でした。根本的には、卑怯さがないんですね。
僕はこの作品を見ていて、まったくジャンルが違いますが、マンガ「弱虫ペダル」を思い出したりしていました。主人公小野寺坂道は愚直なくらいに誠実な男子です。他のチームメンバーも。
いま、現実世界と仮想世界の境界線が見分けがつかなくなりつつあります。
バーチャル世界の影響が、例えばネットの世界のトラブルが現実世界の犯罪や事件に及ぶことも珍しくなくなりました。冷静に考えれば、悪影響が予想されるからこそ、残虐なゲームには年齢制限をかけているわけです。「ソードアート・オンライン」でも、ゲームの中で残虐な行為をしているものが、人間性を麻痺させていく、そんな場面もありました。
バーチャル世界とリアル世界はつながっている。原作者はその象徴として、前半のクライマックス「世界の崩壊」でキリトとアスナにお互いの本名を名のらせています。
現実と仮想が交錯しつつある時代の中にあって、「誠実さ」の大切さをメッセージとして織り込む、これも「ソードアート・オンライン」の魅力に感じましたよ(^-^)