母が、まだ実家に住んでいた頃、母は、大量の薬を処方されていた。脳神経外科、内科、泌尿器科、整形外科、眼科。病院に行くのが仕事みたいな感じで、予約日にはきっちり受診して毎月薬をもらって帰って来ていた。しかし、大量の薬を認知症の母が管理できるわけがなく、父がいつも仕分けして食事の時に一緒に出して飲むように促していた。ところが母は、薬を飲んでないのに飲んだと言い、飲んでないよと言うと逆ギレして怒るので、父も手を焼いていた。結果、大量の飲み残しの薬が余って放置されていた。本当に医療保険の無駄遣いだ。
こちらに両親を引き取り、病院も変わり、5年の間に色んな薬が無くなった。まず泌尿器科の薬がなくなり、整形外科の湿布がなくなり、糖尿病の薬がなくなり、認知症の薬がなくなり、睡眠薬がなくなった。
今、飲んでいるのは、整腸剤と骨粗鬆症の薬と緑内障の目薬だけだ。
一年位前から食事が入らなくなり、痩せてヘモグロビンa1cも基準値内まで下がり糖尿病の薬が中止になった。
2ヶ月前の受診で、貧血や息切れもあり、腎臓の機能も落ちて来ているので、なるたけ体に負担をかけないようにと、認知症の薬と睡眠薬もなくなった。
先生は言った。
「多分、薬をやめても何も変わらないと思いますよ。」と。
私は、半信半疑だった。
が、それは杞憂に過ぎなかった。
薬をやめて2ヶ月。結果、何も変わらない。
先生の言った通りだった。
ボケっぷりは相変わらずだが、一日中トイレと食事以外はベッドで寝続けているし、半分寝たきり老人なので、認知症の薬はあまり意味がないのかもしれない。
昔、徘徊する程元気だった頃の母には有効だったメマリーも、今は必要なくなってしまったみたいだ。
あとレンドルミンという眠剤。5年前から毎晩飲んでるのに、一晩中、起きてる日は起きてるし効いてるのか疑問だった。
薬をやめてから、一晩中、起きてる日に、残っている薬を、試しに何度か飲ませてみた。
結果は、効かない。
母の場合は、寝ない日は薬を飲ませても寝ないという事が分かった。
母レベルになると認知症の薬と眠剤は、飲んでも飲まなくても一緒だった。
結果、減薬することにより母の体の負担も減り、医療保険の無駄遣いが減り、私の薬の管理と飲ませる手間が減り、いい事尽くめだった。