物取られ妄想のはじまり。
最初の頃は、私に「あんた、トンちゃんにお金借りてるの?」と。
誰にもお金など借りてないよ、どうしたの?と答えたところ。「お母さんの指輪がないの、トンちゃんにあげたの?」と。
今時宝石を欲しがる人もいないし、トンちゃん興味ないよと返事しても納得しない。
私もイライラしてきてタンスを探してみると、そこにちゃんとある。
そんな事がほぼ毎日のように繰り返えされていた。
今ならこれが物取られ妄想と理解出来、対処もできるのだが、その頃はこれが認知症のはじまりとは予想も付かず、おかしな事を言っている母を怒ってしまっていたのです。
怒ると症状が悪くなるとも知らなかった私は、母を更に深い被害妄想の淵に追い込んでしまったのです。
指輪の次は着物が無いと言い出した。
仕事から家に帰ると、玄関で泣きながら私をまっていて、「指輪と着物が盗まれた」と。
近所の人にも言う始末でした。
友人が、「恐らく認知症じゃないかな、一度病院に行ったほうがいいかもしれない」と。
そこから、病院探しをして家の近くの脳神経外科の門をくぐることになった。