P. 271-278 Kim Deuk-jin

セックスリレーの実践者

金 徳振 キム トクチン

平壌の崇実専門学校出身。日本の音楽学校で学んだこともあり、音楽畑ひと筋。統一協会で使用中の聖歌十九曲を作曲。文鮮明の教え通りに、セックス原理を実践した生き証人。現在ソウル在住。警察牧師。八十歳。

 私はね、ある韓国陸軍高級将校の保身のための謀略で、北のスパイということにされて、陸軍第一刑務所へ無期懲役囚(四三八番)で入れられたのです。それが無実だと証明されて、一九五四年の十一月二七日に、無罪釈放されました。

 それで出所するとき、刑務所で私が歌を教えていた李錫彬という男が、

 「自分は再臨主文鮮明の弟子だから、出所してソウルへ行ったら訪ねて、必ずこの手紙を渡してください」

と一通の手紙を預けたのです。封筒の表に「父上前上書」、裏には「弟子、李錫彬」と書いてありました。

 妹の家でしばらく世話になりながら、さて文鮮明は今どこにいるか? その当時はまだ統一協会なんて誰も知らない。居所がわからなくては手紙を渡すことができない。そこで親しい友だちの中部警察署長に、「部下に命じて至急捜してくれないか」と頼みました。

 みすぼらしい小さな家に訪ねて行って、私はこういう者で、刑務所の中からこんな手紙を預かってきたと言うと、文鮮明に会わせてくれました。あいさつを交わしていると隣にいた女性が、

 「先生、礼拝の時間です。礼拝をしなくては……」

 そして私にも「一緒にどうですか」と言うので、「はい」と返事をして参加しました。狭い場所でオルガンも何もありません。最初に歌った賛美歌というのが、

 ″六千年の恨みがある、戦いの園、

 勝利の月桂樹を捜し求めてーー″

 文鮮明が作詞したという「復帰の楽園」とかで、この世をエデンの園に復帰するというような歌詞でしたが、なんとその歌を日本の軍艦マーチのメロディーで歌っているのですよ。驚いた私は、終わってから言ってやりました。

 「世界を統一する生き神様というのに、われわれ朝鮮人の仇である日本の国の、しかも最も軍国主義を代表する″軍艦マーチ″で、自作の賛美歌を歌うとは何ごとですか? こんな愚かなことがどこにあるのですか?なぜあなたが再臨メシアなのですか?」

 いろいろ質問すると、文鮮明は顔を真っ赤にしていましたが、「金さん頼みがある。自分で作詞したものがまだ他にもあるので……」と言って、私に作曲を依頼しました。

 すぐにOKしてその後、約二、三年間で私は統一協会の聖歌を作曲しました。文鮮明作詞が五曲、劉孝元作詞が一曲、私の作詞が十三曲。合計十九曲が私の作曲で、今でも世界じゅうの統一協会で熱心に歌われていますよ。韓国で作られた聖歌の本は「作詞・作曲、金徳振」を消してしまいましたが、日本の本には「作詞・文鮮明、作曲・金徳振」が五曲と、「作詞・作曲、金徳振」十四曲の合計十九曲が載ってます。

 さて、話は少し戻りますけど、文鮮明を訪ねた翌日から、美しい女性たちが妹の家に私を訪ねて来るようになりました。「金先生、私たちの教会へ通ってください」というわけです。

 作曲を引き受けたこともあるし、通い始めたら待遇が良い。皆でブロマイドを作っており、東大門市場で売っている信者もいる時代でした。そんな貧しいなかで、私に背広を何着も作ってくれたので、嬉しくて一所懸命に作曲したわけです。

 そのうち、嫌でも文鮮明の原理を聞かされるようになりました。簡単に言うと、

 「六千年前、エデンの園でまだ高校生ぐらいの年で未成熟だったエバを、サタンの天使長ルーシェルが犯してしまった。これが世の中に罪悪をもたらした原罪である。聖書に記されているとおり『目には目を、歯には歯を』で、今度はサタンを騙して世の女性たちを、復帰させなければならない」

 要するに文鮮明は、若い頃に神の啓示を受けた再臨メシアなので、セックスで破綻された世の中を、自分が女性とセックスすることで元の姿に復帰させ、血代交換(血分け)をしなければならないーーと言うのです。

しかし、これは表に出せない秘密の教義なので、対外的な説教ではそのたとえとして、こう話していると言っていましたーーイエス・キリストが十字架にかけられるまえ、神に向かって「できればこれを避けて頂きたい」と祈った。原理では、神は九五%までは人間を引導してくださるが、残りの五%は人間自身で考え解決しなければならない。イエスにも神は自分で解決しろと言ったので、血の涙を流す苦労の末に悟った。

 「お父さま、お父さまの意のとおりになさってください」

 いやあ、この原理をいち早く私は悟りましたねえ。人間の身体をした神様(文鮮明)のセックスの輪をどんどん拡げていくことが、神様の希望を叶えることになる―。

 もともと不良で、青春株式会社社長を自称して女遊びをやりまくっていた私は、ピンときた。

これは罪ではなく、良い仕事なんだと。学生時代に日本で、喫茶店の女の子などを誘惑してその晩に犯したときなどは、罪の意識を感じたこともあった。だけど統一協会の復帰原理は、一所懸命にセックスに励めば励むほど、神の摂理に従うことになる―。

 そこで私はまず、文鮮明とセックスして復帰した劉信姫さんから、「神様の尊い血」を分けてもらうことにしたのです。

今はもうお婆ちゃんになったけれど、当時の劉信姫さんはとても美人で、頭の良い純粋な人でした。だから文鮮明に教えられた原理を心から信じているので、他の男性に血分けする義務があると思っていたのでしょう。だから、

「金徳振先生、ねえ、私の血を分けてあげましょう……」

と言って、彼女の方から擦り寄ってきたですよ。もちろん二つ返事で私も「OK」。

 それで私は、劉信姫さんと有難くセックスしました。彼女は夫のある身だったけど、欲求不満もあったんでしょうかねえ。不良で助平で、大勢の女性と経験してきた私のテクニックに、もうメロメロになって喜んでくれましたよ。

 「今までで一番良かった。文鮮明先生より何十倍も良かった」と言ってね。

 復帰原理の実践とは言え、これはもう普通の男女のセックスそのもので、女が上とか下とかは関係ありません。その後も、別の女性と好きなようにやった。

 原理の本を書いた劉孝元さんたちのようにおとなしく真面目な人たちは、文鮮明が自分で犯して復帰させた誰々と寝なさい、と指示されるまで待っていましたが、私から言わせればボンクラたちですよ。私は違う。九五%は神の教えだが、残りの五%は自分で考えました。


 文鮮明と復帰のセックスをした女は、他の男と血代交換のセックスをしなければならない。男は第二の女とやり、女は第三の男とやり、そして第四の女へとリレーをしていく……。

こうして拡がっていくのが原理じゃありませんか。それによって世界じゅうの男女が血代交換され、身体の血代交換が進行し拡大することが、すなわちサタンの血を追放することになる―と、

原理文鮮明が教えているんですよ


 だから私は遠慮なく自信をもって、東奔西走で励みましたねえ。ソウルはもちろん大邱でも釜山でも、キレイなべっぴんさんばかりを厳選して、十五~六人はやりましたかねえ。ソウルで私が五人の女性とセックスしたのが、一週間後には何と七十二人の輪になったそうです。これも立派な原理実践の成果ですよ。

 ところが、文鮮明や劉孝元さんから「ダメだ」と言われました。その理由は、

 「メシアの文先生から受ける復帰のセックスは、蘇生・長成・完成の原理で三回セックスしなければならない。お前はまだI回しかしていない劉信姫とやったから、無効だ。何百人に輪を広げても意味がない」

 それで私は怒りましたよ。「この野郎、そんな嘘があるか!」とね。サタンにエバが犯されたとき、神は何もできなかった。サタンに勝つには条件さえ合えば良いではないか。

それが文鮮明と三回しなければ、女性は復帰できないとは何事か。

この犬畜生め、と怒って喧嘩したのです。

 それからあと、私は大邱へ行って永信中高等学校の音楽教師をやってましたが、ある日、文鮮明の首弟子だった朴正華さんが大邱へ来たのです。

文鮮明が大邱の美人信徒・萬玉謄と私を、正式に結婚させよと指示したそうです。もちろんこの女性と文はセックスした仲です。

ところが偶然にもある所で、李錫彬にばったり会いました。刑務所で私に文鮮明宛の手紙を頼んだ、あの男ですね。


 李錫彬は出獄してから自分の罪を悟り、今は大邱市内の小さな教会の伝道師をしている、という。そして。

 「この機会にあなたも自分と同じように、一般の女性と再婚して、天の神様のお許しを受け、キリストの福音を伝播する伝道者になったらどうですか」

 朴正華さんも同調してくれましたので、李錫彬が勤める教会の長老の長女、姜恵環執事と、私は再婚しました。貧しかった私が結婚式で着た上着は、朴正華さんから借りたものでした。それから今日まで、神のお許しとお恵みで私はとても幸福で、七十五歳のときに、かわいい孫まで授かったのです。


 再婚して二年目に、私たち夫婦は大邱からソウルへ引越して、私は城東高等学校の音楽教師になり、夜は神学校の生徒として勉強しました。ちょうどその頃、親友の金景来さん(現在は韓国基督教総会事務局長)が新聞記者で「統一協会の正体」という記事を大きく書いたのです。

 その新聞記事を読んだとかで、思いがけない婦人が私を訪ねてきたので、ほんとに驚きましたねえ。その婦人とは、文鮮明の本妻だった崔先吉さんなんですよ。


 崔女史は、文鮮明の人格や統一協会の性の乱脈を知り、呆れ返って離婚して、可哀相なヤモメになっていた。そのとき崔女史は私に、こんな話をしましたよ。


「金先生、この機会に文鮮明という男が、再臨主ではないことはもちろん、人間でもない、恐ろしい蛇のような奴であることを全世界に知らせましょう。

 文鮮明は女好きの性欲の固まりで、私が文と結婚して息子(聖進)を産むまで、夫婦関係を毎晩十回以上しても、元気溌渕だった。これは彼が蛇のように、異常に精力が強いからです」

 私もまったく同感でした。

統一協会は宗教ではありません。淫乱なセッ*ス教団なのです。


文鮮明と喧嘩してから大邱へ移るまで、私は朴正華さんのいた鉱山へ追いやられたことがありました。一年半ほどいてソウルへ戻ってから、友だちが借りてくれた部屋で男六人、女三人で楽しく、″復帰ゲーム″をやったことがあります。統一協会の原理を実践しただけですが、そこには宗教らしさは一つもありませんでしたね

 私は悟りました。文鮮明のセックス原理は間違いだと。彼はこの原理を振りかざして、お母さんとその娘二人を犯し、下の娘さんには子どもまで産ませています。極悪非道な行為とはこのことではありませんか。

 今度こそ文鮮明も統一協会も、神の裁きを受けるときが来ました。そしてた

くさんの犠牲者たちに、その罪を償わなければならないのです。

 私自身も不良青年時代に罪を重ね、統一協会に入ってからは原理を盾に、好き放題に淫行を重ねた罪は、幾千万の厳罰を受けても仕方がありません。天の神様に心から懺悔し、ひたすら悔い改めて、警察牧師としての仕事と孤児の救済などに全力で奉仕している毎日であります。

(手記および口述。文責=編集部)

つづく




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文鮮明と統一教会の犠牲者たち(1)<深く知りすぎると邪魔にされる

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文鮮明と統一教会の犠牲者たち(2)<劉孝元兄さんは手術をしなければ、もっと長生きできた


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六マリアの真実はどこに?それは絶対的な原理の元の行為だったのだろうか?