西洋占星術にはネイタルチャート鑑定の他にもたくさんの技法があります。

その中にプログレス法という技法があります。

ネイタルチャートの太陽を1年で1度ずつ進めて、人の一生を凝縮して鑑定するというものです。

 

※参考

・ネイタルチャート=出生時の星の位置

・トランジットチャート=ネイタル×現在(占いたい時期)の星の位置

・プログレスチャート=ネイタルの太陽が1年で1度進んだ時のチャート。現在30歳であればネイタルの太陽が次の星座に入っている。

 

プログレスの太陽は1年で1度ずつ動きますが、月は約28年で一周します。

例えば生まれた時に双子座太陽が15度にあった人が、15歳になるとプログレス太陽は蟹座0度になります。それから30年間はプログレス太陽が蟹座にいることになります。これによってその人の30年間のテーマが蟹座の意味する、家庭を持つことや集団の中に溶け込んで共同作業をするというテーマへ移動していきます。

プログレスは、このように人の約30年間のテーマを意味しているという考え方です。

 

人の寿命を考えるとプログレス太陽は90度、これは3星座分くらいまでしか進行しません。この間で、プログレスの太陽と月が重なったり(新月)オポジションを形成したり(満月)などが起こります。

なので、人生は約14年毎に大きな転換期を迎えております。

このプログレスでの新月満月は、その人にとって大きな節目になりやすいので注目しております。

今まで鑑定してきた方のお話をまとめると、結婚や就職転職・起業や女性であれば出産など分かりやすい現象が起こるようです。

 

プログレスチャートは、ネイタルが基本なので自分の内側にある体内時計のようなものです。

なので、これだけでは外部から受ける運勢の波が読みきれません。

プログレス+トランジット(木星以降)でその時にどのような状況にあるのかを鑑定していくと良いと思われます。

 

 

<プログレス上の新月満月の出し方>

 

上記の具体例として1978年生まれの男性Bさんのプログレス新月満月を出してみます。

※ご本人の許可を取って掲載しております。

 

内円:ネイタルチャート

外円:プログレス上の新月満月がどこで起こるか

 

これが一覧で出てきます。

プログレス上の新月満月が1度だけではなく、一生の内で約14年ごとに何度かやってきます。

その日付や年齢も表記されております。

ネイタルはその日その時間に生まれた人でないと多少変わってきます。

なのでプログレスも同様に、一人ひとり違うものになります。

 

この例の男性Bさんは、1978年生まれで現在43歳です。

2008年に入社して14年間務めた会社を辞めて、2022年に起業する予定でおります。

プログレス新月が6室で起こった年に現在の会社に入社して、プログレス満月が12室で起こった年に退職・起業することになっております。非常に分かりやすい事例だったためブログに掲載させていただきました。

 

これからBさんのプログレス新月満月とトランジットを組み合わせて、順に解説しようと思います。

 

下記サイト: 木星以降のトランジット+プログレス

 

 

 

<1993年 Bさん15歳 11室射手座プログレス満月>

内円: ネイタル

外円オレンジ: トランジット(木星以降)

外円グリーン: プログレス(火星まで)

 

Bさんはネイタルの太陽と月がIC双子座にあるのが特徴的です。

このことから、双子座新月生まれであることが分かります。

太陽と月の近くには水星もあり、Bさんのアンギュラー天体であることも分かります。

Bさんはとても人当たりが良くて、会話もソフトです。

他者との距離の取り方もとても上手なのが印象的でした。

IT系のお仕事をされており、起業予定のお仕事も近い業種とのことでした。

アンギュラー天体である双子座水星を上手に活かしていることが分かります。

 

1993年にBさんが15歳の時に、人生で1度目の満月が起こりました。

プログレスの太陽はまだ15度しか進んでいないので、ネイタルの太陽とは同じ双子座です。

その向かいの射手座11室にプログレス月が入り、満月が起こりました。

Bさんは、5ー11室に双子座/射手座があります。

新しい環境で広く浅く仲間と付き合うみたいなことがこれからのテーマになっていた、と思われます。

 

トランジットのドラゴンヘッド/テイルにも注目です。

1993年は射手座/双子座間を移動しており、トランジットで日食月食が起こったことが分かります。

双子座新月生まれのBさんにとっては、新しい世界を見るような飛躍の年であったと思われます。この年にBさんの現在の職業とつながる学校に進学が決まったとのことです。

 

双子座だけではなく新月や満月生まれの人は、だいたい15歳前後でプログレス新月満月が自分のネイタル太陽や月と重なります。このような人は、子どもの頃から注目されやすいとか運を拓きやすいという素質を持っていると思われます。

 

 

<2008年 Bさん29歳 6室でプログレス新月>

 

6室には職場の環境や健康という意味があります。

Bさんは6室蟹座なので、ここでプログレス新月が起こりました。

この年、新卒で入った会社を退職されて、現在の会社に入社されたとのことです。

すごい偶然が重なって入社することになったとお話されているのが印象的でした。

 

この年は、Bさんの土星回帰(サターンリターン)の1度目でした。

ドラゴンテイルが土星と重なっていることに注目です。

この年は獅子座/水瓶座間で日食月食が起こりました。

日食月食はその星座にある星を強調します。それが土星回帰と重なってBさんにとって大変な試練であったことが分かります。

 

ネイタル火星土星がディセンダントで合になっているのもBさんの特徴です。

他人に対しては特にすごく我慢強い人なんじゃないかな?と思います。

他人のため自分のためにすごく努力できる人であると解釈しております。

 

このネイタル火星土星に対して、トランジットキロンや海王星がオポジションを形成しております。

BさんのIC水星に対してTスクエアができていたので、思考させられることが多い年であったと思われます。強い決別の運勢に感じます。あきらめやすっきりした感じもあったように思われます。

でもプログレス金星が7室獅子座に入り、転職先との出会いは明るいものであったと思われます。

 

 

<2022年 Bさん44歳 現在 プログレス満月12室>

2022年12月の現在に近いチャートです。

プログレス月が12室に入り、6室にいるプログレス太陽とオポジションを形成しました。プログレスの満月が12室で起こる時は、一般的に過去の自分と向き合うような時間になるとされております。仕事を辞めたり環境が大きく変わるリセット期間にもなるようです。

でも、プログレス月がアセンダントに向かっているので、人生の次のステージへの静かな準備期間になると読んでおります。

 

プログレス満月の近くにトランジット冥王星が12室山羊座にいること・リリス回帰がネイタル金星木星の近くで起こることに注目です。ここ十数年は、冒険というよりは社会的役割をこなして適応していくことに集中していたかと思われます。

しかし、12室のあらわす内省的な時間はそろそろ終了しそうです。

トランジット冥王星がアセンダントを通過していく途上にあり、Bさんの双子座太陽や月・水星とトラインを形成していきます。大きな飛躍へ向かう途上にあると読んでおります。

 

2022年は、土星同士と天王星同士がBさんのアンギュラーの近くでオポジションを形成しております。不動宮のグランドクロスなので、2021年から運勢が縮小するとかあまり良くない状態だったと思われます。

また、牡牛座天王星の近くで日食月食も起こるので、不動宮アンギュラーのBさんにとってはしんどい運気であると思われます。

この運勢は2022年全体に影響するので、まだいまいち感があると思われます。

でもここが底と思えば後は上がっていくだけなので、ひたすら進むのが良いと読んでおります。

 

Bさんはネイタル金星木星リリスが蟹座の5室〜6室の境目で重なっているのが特徴的です。日常で小さなラッキーが多く、偶然が重なって大きなチャンスが得られた!ということが多いと読んでおります。

2022年はトランジット木星海王星・天王星とネイタルの金星木星と天王星がカイトを形成するので、日々の小さな積み重ねが幸運を呼ぶのではないかと読んでおります。

プログレス太陽や月が5ー11室に重なって満月が起こるのも願いが叶いそうな配置に感じます。

いずれにしても、2022年は人生の分かれ道になるようなことが起こると読んでおります。


◆Bさんから2022年末の状況をご連絡いただきました。


「2022年4月に起業し、6月に軌道に乗せることができました。8月には新社屋も建てることができました。しかし、2022年9月にある出来事がきっかけで事業での収入がほとんどなくなってしまいました。

しばらく道を模索し続けましたが、断念し新社屋も撤去することになってしまいました。車や今まで使っていた仕事の機材も売りました。

12月には起業した会社を畳み、事業転換を行うことになりました。」とのことです…。


今年は双子座に火星が長く滞在しており、木星海王星と柔軟宮のスクエアが長期化していました。さらに天秤座から乙女座へ水星が逆行し、Tスクエアを形成しました。Bさんの双子座太陽と月が柔軟宮のグラクロを形成するという状態でした。

そして牡牛座天王星の近くで月食が起こった11月に、色々なモノを手放していったというのが印象的でした。

実際に起こった出来事に対して、後からは何とでも解釈はできます。しかし、あまりにも星の動きとBさんの現状が一致していると感じました。


Bさんのプログレスを読んでいると、2022年末に本当の転換期がやってきます。なので、これから人生のリスタートになることが起こると読みました。

Bさんの現在2022年末は、思いがけない別の副業を始めて収入を得られるようになったとのことです。今度はコストがほとんど掛からないので、気軽に始められたようです。

また、現在の勤務先で新たなポストの募集があり、Bさんがこれから目指すものと非常に一致していたため、応募してみたとのことです。

この新しいポストへの応募締切が2022.12.29であるとのこと…ちょうどプログレス満月が起きるその日です。トランジットでは、Bさんの水瓶座アセンダントには冥王星が近づき、向かいの獅子座にはリリスが入ろうとしています。お勤め先での新しいユニークなポストで隠れた野望を実現する、と読みました。

さらに2022年12月には双子座満月が起こります。双子座に太陽と月のあるBさんにとっては、格別な新しいスタートになるでしょう。

うまく行きますように、と心から願っています。

 

 

<2037年 Bさん59歳 プログレス新月がDSC>
次の転換期は、2037年のBさんが59歳になった時に訪れます。
ちょうど2回めの土星回帰(サターンリターン)の次の年です。
現代の状況を考えると65歳が定年退職なのだと思われますが、この頃には「定年退職」「労働」という概念が変わっているかもしれないと読んでおります。現在の決まりきった概念がほとんどなくなっているように思います。
良い意味で、自分で自分の引き際が決められるような社会になっていると読んでおります。
火風星座に太陽と月のあるBさんにとっては、自分らしく振る舞える有利な世の中になっているように思います。
 
2037年、この時はディセンダント(パートナーや社会)でプログレス新月が起こります。ディセンダントから先の7室には「社交」「他者との関わり」という意味があります。7室は生まれた時に地上に出ていたハウスなので、このような意味を持っていると思われます。なのでBさんは、これからは他者と積極的に関わる・自分の存在をアピールしていくということがテーマとなると読み取れます。
 
具体的には、第三の社会人デビューのようなことが起こると思われます。
Bさんは現在、会社に所属しながら起業するというスタイルを取っております。
2037年には個人事業主としての仕事の割合が増えているとか、あるいは所属している会社で役員になるなど、社会での立場が大きく変わっていっていると思われます。
 
トランジット冥王星はまだ水瓶座にいてBさんに新しい変化を促しております。
双子座新月生まれのBさんにとっては、トランジット冥王星が長くトラインを形成しております。運勢上の強力なサポートを得られている状態なので、比較的思い通りの人生になっていると読んでおります。
 
この年、2037年はトランジット木星天王星が獅子座に入ろうとしております。
今度はドラゴンヘッドが天王星や木星と獅子座で重なります。
この年は、獅子座の頭で日食月食が起こり木星天王星と重なるという現象が起こります。
Bさんのディセンダントは獅子座なのですが、ここでプログレス上の新月も起こり、トランジットの日食も起こります。
今はまだ想像することのできない新しい世界が待っていそうです。
双子座新月生まれのBさんにとっては、好ましい変化だと思われます。
パートナーや配偶者が脚光を浴びるようなことがあるとか、Bさんご自身にというよりは家族の一員として幸運を得られるなどかな?と読みました。2037年のこの頃には「家族」という概念も変わっているかもしれないので、社会人としての第三番目くらいの嬉しいスタートを切ると解釈をしました。
 
この頃になるとプログレス金星と火星が天秤座で合に近くなります。
双子座新月生まれのBさんにとっては、すごく良い運気なのではないかと思われます。
プログレス金星火星が8室に入り、Bさんのネイタル双子座太陽と月とトラインを形成していきます。
お金周りはとても良さそうな感じがします。
 
 
<2052年 Bさん73歳 プログレス満月が1室>
かなり先ですが、次はBさんの1室でプログレス満月が起こります。
始まりの満月です。ネイタルのアンギュラーの近く(1・4・7・10室)で起こる新月や満月は通常のトランジット鑑定でも重視するポイントです。
この時に初めたことは、これからのテーマになると読んでおります。
プログレス満月が1室で起こるのでこれからの人生のテーマを見つける時になるとされております。Bさんの年齢を考えると、人生が完成したと実感するようなことがある?とも思いました。自分の人生はこれで良かったとか正解が分かる・実感するようなことがあるのかもと読みました。
 
この年、2052年はトランジット土星冥王星が魚座で重なります。
2020年は山羊座で重なっていたのが思い出されます。この年2052年もまた、世の中に影響を大きな影響を与えるような試練があると読んでおります。
 
トランジット土冥がBさんの1室で重なり、プログレス満月も重なります。
Bさんは双子座に太陽と月があるので、トランジット土冥とはスクエアを形成します。
Bさん個人としてもちょっと辛そうな感じ、たぶん試練があると思われます。
トランジット木星天王星とBさんの金星木星がスクエアを形成し、プログレスの太陽と月がトールハンマーを形成しているのも試練めいています。
 
でも、Bさんのネイタル金星木星天王星とトランジット土冥は水のグラトラを形成します。社会的には良い状態、金運は良さそう、そのくらいしか読み取れないです。
この時、Bさんは73歳です。
あまり先のことになると、占いでも現実的にも予測不可能です^^;
西洋占星術の概念も時代に合わせて変えていく必要が出てきそうです。
なので、Bさんのプログレス新月満月の鑑定はここまでにしたいと思います。
 
ここまでお読みいただきありがとうございました(^^)