月曜の稽古のS先生クラスは、メソッドが違うようでバーからして違うし、センターのアンシェヌマンが難しくて、中級以上の生徒に絶大な人気があるクラス。
遠征組も多くて、時間を5分でも過ぎるとバーに場所がないくらい。
S先生以外のクラスでもなぜかいつも鏡の前にいる30前後の女性、Aさんとしましょう。
上級レベルの下のほうって感じの腕前。
教室の発表会で全幕をやるとしたら、ソリストくらいになるかな。
彼女はS先生が好きで、仕事で遅れて稽古に間に合わなくても、外から見学しているくらいなんです。
が、先日。
AさんはそのS先生に怒られてしまった。
「あなたはわたしの言ってること聞いてないじゃないの。○○って言ったでしょう」
Aさんより全然下手な人が、先生の言うとおりに動いて、「良かったわよ」って言われてるのに。
Aさん、そこそこ上手いのです。キャリアを積んできてるわけだから。そのキャリアで身に着けたルールで動いたら、今はそういう風に教えてないでしょうと言われてしまった。
他のクラスでもいつも鏡の前で、要は鏡とばっかりお話してるんですね。
自分の顔ばっかり見ているナルシストさんではないんです。そこまでひどくは全然ないんだけど、自分の中ばっかり見てるの。
長い時間をかけて身についたものだけれど、何も捨てろってわけじゃない。たかだか75分の間、違うルールで動いてみればいいだけのことだし。
でも、そこそこ踊れる・いつも一番前にいる・いつも鏡の前にいる、そのことが彼女自身の「殻」になってしまっているように、わたしには見えるのですよね。心の扉を閉めちゃって、自分の世界になっちゃって。どんなにストイックなつもりでも、そんなんだったらスタジオに来なくてもいいじゃん。先生もいらないじゃん。
心の扉をいつも開いておけば、先生のどんな言葉にも反応する、反応しようとするはずなのだよね。
おまけに、いつも一番前にいるのに、後ろの子達に全然気を使わないし、いつも鏡の前にいたがるのに、急いでポジションにつかない。
これではプリマには向かないだろうな・・・ずっとソリストどまりだよね。
そんなに一生懸命鏡を見て、いったい何を表現しようとして、ギャラリーに対して何を訴えるつもりでいるのか、わたくしにはさっぱりわかりませんですだ。