りんご(娘の名)にヴァイオリン買い替えの時期が来た…
予想より1年早い…

いよいよフルサイズ、大人サイズです。
フルサイズを買うなら中国製と決めていました。
まず安価だし、りんごは日本人の中でもかなり中国人寄りの姿形をしています。(ちなみにダメ母はミャンマー人、夫はモンゴル人を連想させる姿形です)
だから、中国製の楽器は、きっとりんごと相性が良いにちがいない…
…と、思い込もうとしていたの…

が、先生のお話を聞くと…
中国製、ドイツ製の楽器は20万からあるが、下取り時、半額以下になる。
ある程度の工房製のオールドならば、買ったときと同じ価値をほぼ維持する。お金を足して、更に上のレヴェルの楽器と交換することもできる。

音色ももちろん違う。

りんごは
「一番安い中国製がいい!」
の一点張りだった。
壊したときや、忘れたとき、ダメ母にどういう目に遭わされるか、まざまざと映像が浮かんだに違いない…
「高価なものは、荷が重いんだと思います。ヴァイオリン持って、あちこち旅行しますし、ロッカーにも入れますし、ホテルに置きっ放しにもします」
が、正直なところ、一番こわいのは我が家に置きっ放しにすることである。
犬、猫、うさぎ、常時放し飼いの上、夏になるとたいへんヴァリエーションに富んだ虫、両生類、爬虫類が自由に生活している我が家である…

そのダメな理由には「保険にはいる」という回答が用意されていた。
年、楽器の価格の1%を支払う。意外に安い…

で、ダメ母は見てしまったの。
りんご(娘の名)が先生の楽器を弾かせてもらった時、びっくりしたように目を見開き、頬が瞬時に赤く染まったところを…

で、ダメ母はもちろんダメ娘でもあるので、速攻、実家に電話を入れた。
そして、ダメ母の姉が援助を申し出てくれたのである。

昨日のレッスン終了時、
「オールドで探してください。お願いします」
と先生に申し入れた……とたん、りんごは涙目になった。
「いやだ!中国製の一番安いのがいい」
と、駄々をこね始めたのである。

ダメ母は、心の中で
「ちっ、話の通じねーガキだなー」
と、いらいらし始めていたのであるが、先生がぽつりと一言。
「いい感性してます」
今の自分につりあった楽器がいいのね。
自分で実際に持ったこともないようなお金、びっくりしちゃうよね。
…と、落ち着いた声で言ってくれたのである。
(ますます調子づいて)さめざめと泣くりんご…

わたしも、こういう理由で泣いてみたかったよ。
と、思ったとたん、小学校の卒業式が終わって中学校の入学式の前の春休みに、映画館で観た「がんばれ!ベアーズ」のことを思い出した…
画面がやけに黄色だか黄緑ぽかった…バンザイで終わった映画だったように思うが…
観おわった後、やけに物寂しかったのをおぼえている…
もう、自分は小学生じゃなくなったんだって…
もう、わたしはベアーズのメンバーにはなれないのねって… 

りんごはもう1年小学校に通うのだけど、自分が大事に守って責任を持ってやらなくてはならない高価な荷物をかかえるのが、不安で重苦しいのだろう… 

まあ、そういうプレッシャーに耐えて、大人になっていってくださいな。