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「マンハッタンに新しく出来たアレキサンダー・マックイーンの店を取材してきてほしい」
かつて日本の編集部からの依頼で、初めて彼の名前を知った。
日常的にはとても着られないようなエッジーな洋服ばかりだったが、彼の「美しくも野蛮な世界」の魅力に圧倒されたのを覚えている。
ファッションの世界には疎いけれど、彼は単なる服飾デザイナーではなく、その内に秘めた暗くて鋭い感性をファッションに代えて表現するという、まさに究極のアーティストなのだと感じた。

「アレキサンダー・マックイーン氏死去」衝撃的なニュースから一年が過ぎ、彼の回顧展がメトロポリタン美術館で開催された。
世界中から彼の遺作を見に集まる人々で、連日長蛇の列。なんと3時間の待ち時間。
こんなに長く何かのために並んだのは、開業時の東京ディズニーランドに行って以来。

展示場に一歩足を踏み入れると、そこは別世界。ゴシック、自然、宇宙、地球環境、テーマ別の部屋が続く。
万華鏡のような空間の演出、モニターやシェルフの配置、そして音響も凝っていた。
マックイーン氏の心に秘めた世界が具現化した究極のエンターテインメント会場は歓喜で満ちていた。
彼はもはや孤高のアーティストではなく、歴史に残る人物となったのだ。
約100点の遺作、これらはきっと世界中のオークションにかけられて、もう二度とすべてが一堂に集められることはないのかもしれない。
そう思うと、感慨深かった。
メトロポリタン美術館史上、最高のエキシビションといわれるのも納得。

残念だったのは、展示場にいたアジア人のマナーの悪さ。
「写真撮影禁止」といわれるなかで、こそこそとシャッターを押しまくる。
きっとブログに載せるのだろうか。

彼の作品の記録は、素晴らしいカタログにおさめられている。
ということで、ここではポスターの近影をご紹介。


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