東海乳房再建研究会と乳頭乳輪タトゥーの勉強会 | Life can be beautiful. (みかこクリニック院長 高木美香子のブログ)

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先週の12月1日(土)は、込み合う土曜の午後外来を休診にさせて頂き、ホテルメルパルク名古屋で開催された『第4回東海乳房再建研究会』に参加してきました。

 

今回は、いつも仲良くしていただいている愛知県がんセンター中央病院形成外科奥村誠子先生からパネルディスカッションのパネリストにご指名を頂いたため、責任重大でした。。司会の先生によると、この東海乳房再建研究会は、アラガンが主催する全国の研究会の中で最も参加者の多い組織だそうで、この日も参加者の先生が沢山いらっしゃり、会場は満席状態でした。

 

一般公演では、伊勢赤十字病院形成外科部長の中里公亮先生の司会で、愛知県がんセンター中央病院看護部、乳ガン看護認定看護師の髙木礼子さんが、『乳房再建術選択における看護~乳がん看護認定看護師の関わり~』というテーマで発表されました。乳房再建の術式を決める際の患者さんの決断の仕方を患者さんのタイプ別に4つに大別し、そのタイプによって対応の方法を変えたり工夫しているというお話はとても参考になりました。確かに、乳房再建の説明を行っても患者さんの反応は十人十色で、中には全く方針が決められない方もいらっしゃいます。当院でもそんなときに大活躍してくれるのはやはり看護師さんで、彼女たちの活躍なしには話が進まないというのが実情です。改めて考えれば、患者さんのタイプによって医療者の『寄り添い方』というのが変わってくるのは当然なのですが、発表であったように、大まかなタイプ分けをして対応を最適化するという方法は、医療者側の負担が軽くなるだけでなく、患者さんも治療に向かって前進しやすくなるというメリットがあると思いました。

 

続いて、特別講演では聖隷浜松病院乳腺科部長の吉田雅行先生の司会で、広島市民病院乳腺外科主任部長の大谷彰一郎先生と形成外科部長の身原弘哉先生のお話を聴きました。お二人の講演のお題でもありましたが、乳腺外科と形成外科が『仲睦まじく』協力して、治療にあたられていることがよく伝わってきました。形成外科の身原先生のお話は、誠実で実直なお人柄が滲み出ていただけでなく、乳房再建の具体的な工夫など、学ぶ事がたくさんありました。

 

その後に行われたパネルディスカッションでは、仮想の患者さんで、このような状況であれば、どのような治療方針、再建方法を勧めるか、それぞれの意見を会場の参加者もスマホや携帯から投票して、その結果を集計し、ディスカッションが行われました。私もパネリストとして前列で意思表示を行い、意見を述べました。

 

想定された場面は、放射線治療が必要となったケースで再建をどうするかというものばかりでした。最近、放射線照射の有効性から、適応が拡大される傾向にあり、問題になっているのが再建との兼ね合いです。例えば、術前診断で術後の放射線治療は不要であろうと予想していたのに、乳房の切除とエキスパンダー留置を行った術後に、病理診断で放射線治療が必要となってしまった場合、その後の再建方法をどうするかといった内容でした。再建を中止するのか、インプラントに早急に入れ替えて放射線治療を行うのか、自家組織に変更を勧めるのか、などなど、選択肢は色々でした。 

 

ディスカッションを通じて私が感じたのは、これらの問題の多くが、一次一期でインプラントを入れる、または一次一期で自家組織が移植できれば解決される場面が多いということでした。残念ながら、その両方とも簡単にはできないのが日本の実状です。なぜできないのか、それを書き出すと原稿用紙10枚でも収まらないので、ここでは割愛します。

 

現状で出来る中での対応を考えたときに難しいのは、再建の主治医として最も理想だと考えるお勧めの方法と患者さんが望まれる方法とが必ずしも一致しない点にあるといつも思います。主治医が患者さんの希望を無視して治療方針を決定できるなら、医学的には望ましい結果が得られるかもしれません。でも、そもそも乳房再建は患者さんのQOLの向上を目的としているので、その患者さんにとって必要のない治療ならば、ただの医療者の自己満足になってしまいます。かといって、患者さんの希望を重視した場合のリスクを全く無視することもできません。もちろん、どの方法を選んでもリスクは多かれ少なかれあるわけで、そのリスクの大小を主治医と患者さんとが共に共有しているということが大事なのだと思います。

 

さて、真面目な話のあとは、いつものとおり懇親会に参加していろいろな先生方と交流を持ちたかったのですが、出発直前に我が家の2歳児が一緒に行くと言い出し、会場についてきてしまったため、閉会と同時に帰ることになりました。。特に、広島の身原先生とお話するのを楽しみにしていたので、お話できなくて残念でした。

 

 

その翌日の日曜日。奥村先生のつてで、乳頭乳輪のタトゥーの勉強会に行ってきました。現在のところ、他の多忙な業務との兼ね合いで、奥村先生ご自身は乳頭乳輪のタトゥーの施術されていないのですが、私のお願いに付き合ってくださって、勉強会を企画して頂きました。勉強会には、この4月から愛知県がんセンター中央病院の形成外科に勤務されている丸山陽子先生も来られていました。丸山先生は大阪の医局に所属されておられたそうですが、乳房再建をやりたい!という強い意志で、医局を離れ、愛知県がんセンターに就職されたのだそうです。愛知県がんセンターは奥村先生が自家組織もインプラントの一次一期も数多くやっておられるので、東海地区で乳房再建の修行にはこれ以上の施設は無いと言えます。乳房再建を極める為に故郷も医局も離れたその思い切りの良さと覚悟に惚れ惚れしてしまいました。奥村先生のような本格派の乳房再建外科医が東海地区にさらに誕生するのは喜ばしいかぎりです。

 

勉強会のあとは、昨日のリベンジとばかりに奥村先生と丸山先生、そしてタトゥーの先生の4人で、夜の名古屋で懇親会をばっちり行ってきました。懇親会では、奥村先生と丸山先生と私の3人が同い年ということも判明し、そして、仕事に打ち込んできた女同士4人で通じるところもいっぱいあって、おおいに盛り上がり、おおいに飲み過ぎました。ちなみに丸山先生は一滴も飲めないのに、酔っ払って同じように割り勘にさせてしまいました。ごめんなさい。

 

さあ、今週も頑張ります!