インプラントによる乳房再建(手術後の下着)。 | Life can be beautiful. (みかこクリニック院長 高木美香子のブログ)

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読者の方から次のようなご質問を頂きました。
(以下、2013.1.23のブログ記事のコメント欄から転載。)


『インプラントで再建した後の下着(ブラジャー)ですが、
 今はまだノンワイヤーの物を使っています。
 これから先、ワイヤー入りのブラジャーを使って良い日がくるのでしょうか?
 お許しがでるとしたら、いつ頃ですか?
 又、どうなったらお許しが出るのでしょうか。』



ご質問の件ですが、医師によって様々な意見があると思います。
以下は、あくまで私の個人的な考えとしてお聞きください。

私の場合、ワイヤー入りブラジャーは、挿入したシリコンインプラントの位置を安定させるための非常に重要なアイテムだと考えています。

手術中に麻酔がかかった状態で坐位にして、挿入したシリコンインプラントが健側の乳房の位置に対して適切な位置に入っているかを確認し、手術を終了します。ところが、手術中に坐位にして確認していても、手術翌日に、立位でよ~くよ~くチェックして見ると、必ずしも理想的な位置に入っていないことがあります。原因としては、術中の坐位が完全な立位とは同じ状態にすることが出来ないことや、時には見間違いということもあるかもしれません。

そんな時に活躍するのが、ワイヤー入りブラジャーとバストバンドです。
例えば、思っていた位置より下に入ってしまっている場合は、早めに、場合によっては手術翌日からワイヤー入りブラジャーをきつめに締めて、理想とする高さに乳房下溝線(乳房の一番下のライン)を上げようとします。上がり過ぎても嫌なので、それを防止する目的で脇のあたりにしっかりと専用のバストバンドを巻きます。ちょうどワイヤー入りブラジャーとバストバンドでシリコンをサンドイッチして位置を固めるようなイメージです。

逆に、思っていたより上に入っていた場合、バストバンドを下に押し下げるようにしっかり巻いて、位置を下げようとします。ただし、シリコンインプラントを挿入するスペースを確保するための皮下剥離が足りなければ効果はありません。

このワイヤー入りブラジャーとバストバンドという外力による位置の調整は、術後3週間ぐらいまで可能だと思ってます。退院の時に、患者さんと一緒にシリコンインプラントの位置を確認して、ワイヤー入りブラジャーとバストバンドをどう使うか相談します。このアイテムで位置を微調整したいと思った患者さんは、なるべく3週間の間、可能な範囲で再来してもらい、一緒に位置を確認しています。上がり過ぎてたらちょっとワイヤー入りブラジャーをやめてもらったり、患者さんに鏡を良く見てもらって、御自身に調整をおまかせする場合もあります。これで、けっこう調整が効くんですよ。

健側の下垂に合わせて、乳房下溝線を無視してシリコンインプラントをわざと下の方に入れる場合もあります。その場合はワイヤー入りブラジャーは使用するのは難しいです。

どういうコンセプトでシリコンインプラントを留置してあるのか、それによっても術後のワイヤー入りブラジャーの使用方法は変わってきます。ですので、ご自分にとってのベストな方法は何かという点については、個別に主治医の先生とよく相談して頂きたいと思います。