Life can be beautiful. (形成外科医 高木美香子のblog)

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女性医師 高木美香子が
乳房再建などの形成外科情報を発信します! 


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今週の火曜日は定休日を利用して、また東京に行ってきました。

 

まずは目黒にある会社に行き、先々週に半顔ずつ別の機種で受けたHIFUのデモの効果判定の撮影を行って頂いた後、赤坂のタカラベルモントさんのショールームに移動して、採用を検討している手術用のベッドの見学をさせて頂き、最後は銀座にあるクリニックにお邪魔して、導入を検討しているレーザー機器のデモを受けてきました。

 
デモを受けたそのレーザーは、顔のタイトニング治療から女性器のアンチエイジングまで、幅広く活用できる画期的なレーザーです。以前から注目していたのですが、値段が余りにも高額なため、採用を諦めていました。でも、本当に優れた機械ならどうにか購入したい、採用予定の機器全体のバランスを見直すことで、購入が可能になるかもしれないと考え、せめて、デモを受けてから決断しようと、東京まで足を運びました。
 
女性器のアンチエイジングについては、開業後にも力を入れたいと考えている分野です。そう考えるようになったのは、自分自身の出産の経験と、木沢記念病院で行った小陰唇縮小手術の患者さんとのある出来事がきっかけです。いつかご紹介できる時が来たらまた記事にしたいと思いますが、簡単に説明すると、小陰唇の手術を行う以上、女性器全体のケアができないと駄目だと強く思わされる出来事がありました。形成外科医ですから、小陰唇を切って患者さんの希望の形態にする事は難しいことではありません。でも、それだけでは本当にその患者さんの悩みやQOLを上げられない場面が多々あるということを実感させられたのです。
 
女性器の悩みには、色(色素沈着)、形(大きさや左右差)、ゆるみ、粘膜の乾燥など、様々なものがあります。かくいう私も、産後に骨盤底筋群の機能低下からくる症状を体験しています。具体的には、軽い尿漏れや入浴後に膣からお湯が漏れるといった経験です。産前はもちろんのこと、妊娠中も筋トレで骨盤底筋群を鍛えているつもりでしたが、それでもダメージは避けられなかったようです。帝王切開の傷の痛みが落ち着くとすぐにトレーニングを開始しました。するとしばらくして尿漏れも入浴後のお湯漏れもしなくなりました。ところが、一旦改善して安心したのと忙しい事も加わってトレーニングをさぼっていたら、しばらくしてまた入浴後のお湯漏れを経験するはめになりました。骨盤底筋群は、膣トレを継続して行わないとすぐに弱るということ、鍛えることを意識して生活しないと、日々の生活の中に骨盤底筋群を鍛える動きが無いのだということを痛感しました。
 
女性器に関しては、先週日曜日に、鶴舞公園クリニックの深谷先生が企画された、「女性器へのヒアルロン酸注入」のセミナーに参加しました。ヒアルロン酸注入によって感度を上げるための注入と、膣を狭くするための注入方法を学んできました。特に、膣の入り口を狭くする注入は、入浴後にお湯が出てくることに悩んでいる患者さんには、非常に喜ばれる施術だと教えて頂きました。女性器へのヒアルロン酸注入に感度を上げる効果があるということもありますが、入浴後のお湯漏れを防ぐという効果もあるということは、私の産後の経験からしても、多くの女性の実生活上の悩みを改善できる可能性を持つ治療であると感じます。
 
そのディスカッションの場では、機器による女性器のアンチエイジング治療に疑問の声が上がりました。レーザーによる膣のゆるみのタイトニング治療や粘膜萎縮の改善は、「気のせい」ではないかと。これに対し、参加されていた女性医師で既にレーザーによる女性器のアンチエイジング治療を行っているという先生方からは、それらの治療を受けた患者さんの満足度は非常に高いという反論も聞かれました。

 

確かにレーザーによる女性器のアンチエイジング治療は、まだ新しい治療で、有効であるという確たるエビデンスはありません。現在40本ほどの論文が出ていると聞いていますが、業者さんから頂いた文献のリストには2012年からの論文しか掲載されていませんでしたので、まだまだエビデンスが高い治療と言い切れるだけのリサーチがなされていない状況なのだと分かります。そんな不確定要素の多い治療ではありますが、女性器のアンチエイジング治療に対する私の現在の考えと予想を書いてみます。

 
レーザーやヒアルロン酸注入による女性器の治療は、ダイエットにおける痩身マシンの位置づけだと思います。ダイエットは食事制限が基本であり最重要であることは疑いようがありません。食事制限を行わずに痩身マシンだけで痩せようとすると、非常に効率が悪いと言えます。けれど、食事制限だけでは落とせない局所の肉を落とすのが痩身マシンです。また、痩身マシンによって局所的に結果を出すことによって、人によっては辛いと感じる食事制限や運動など、ダイエットそのもののモチベーションをあげたり保つことができるのも痩身マシンの活用法です。
 
(形態以外の)女性器の悩みを改善したい場合も、基本となるのは骨盤底筋群のトレーニングで、これがダイエットにおける食事制限にあたると思います。一方、レーザー治療やヒアルロン酸注入は痩身マシンに相当する局所治療だと思います。特に、萎縮性膣炎で乾いてる場合は、いくら膣トレしても改善は見込めないでしょうから、レーザーで粘膜の若返りを期待することは理にかなっています。ちなみに、繰り返しになりますが、レーザーによる粘膜の若返りが有効であるという論文はいくつか出ていますが、エビデンスが高いとは言い切れず、有効であるという医学的な結論はまだ出ていません。時間が無くて詳しくは調べ切れていませんが、ホルモン補充療法とレーザー治療との比較検討の論文などが有りましたので、この治療の有効性は今後も検討され続けると思います。瘢痕治療のガイドライン作業が終わったら(まだ終わっていない。まずいです。)、論文を読み込んで、少しずつご紹介していきたいと思います。
 
膣トレを基本にしながら、レーザーやヒアルロン酸注入を組み合わせれば、生活面に出てくる女性器のかなりの悩みを実質的には改善できるだろうと予想しています。
 
さて、東京で受けたデモの結果は?
とてもよかったですね。やはり購入したいと思いますが。
予算と相談しながら、より良い治療をお届けできるように頑張ります!