先生から話を聞き、シニさんへはどのように伝えるかという話になりました。



私はその時初めに思ったのは、「余命も含めてすべてを伝える」でした。



なぜなら、シニさんは手術前にがんのことをたくさん調べていて、これくらいの進行なら余命はどれくらい等の話を私としていたからです。



手術の説明をすれば、余命をぼかして伝えてもわかってしまうのではないか、

そしてはっきりと伝えなかったことに嫌な感情を抱くのではないかと思ったからです。



そしてそのことを先生や家族に伝えました。



この話はいったんここで終わり、また改めて本人には説明するので、それまでに考えをまとめることになったのだと思います。




シニさんのお母さんとお兄さんと、その後に話し合いをしたことははっきりと覚えています。



「余命は伝えないようにしたい」


そのように相談されました。



「生きる希望を持ってほしい」


ということだったと思います。



実は、私が到着する前の説明の際、

家族は先生にこのように伝えていたそうです。



お母さん、お兄さんからそのことを聞いて、私の中でもそうしたいという思いが強くなりました。



何よりもこの時は、シニさんのお母さんの意思を尊重したいと思いました。




先生には、手術のことは誤魔化さずに伝えてほしいが、余命のことは伝えないで欲しいと伝えました。



しかし内心はとても不安でした。



シニさんは、納得するまで先生に質問するだろうし、本当のことを隠さず教えてほしいと言うだろうと思ったからです。



結果、先生は本当にすごい方で、手術内容や病状のことは隠さず説明した上で、「余命2年」とは伝えずシニさんの納得するような説明をしてくれました。


実際にシニさんの過去のブログを読んでも、少しも不審がることなく納得していたことがわかります。



そして「余命2年」という言葉は、私や家族の中にしまい込むことになったのです。




お見舞いでもらったクッションを抱えてお見送りしてくれるシニさん。

術後5日目。少し表情も穏やかに。