■手当てについて

人類最古の医療は「手当て」だと言われています。

心を込めて、手を当てるだけで人の身体は楽になります。

「手当て」は病気の症状を軽減させます。

 

それを実際にアメリカのTouch Research Institute(接触研究機関)が研究を発表しています。

その効果としては

・痛みの軽減

・パーキンソン病の振戦の軽減

・アルツハイマー型認知症の徘徊や暴力行為の軽減

などが報告されています。

 

さらに2012年のSupportive Care in Cancerによる研究によると

「手当て」はがん患者の痛み、ストレス、悪心、無気力や不安などが

「手当て」によって軽減したという研究を発表しています。

 

この「手当て」は看護助手によるものであり、

研究では思いやりや温かさを「手当て」という行為によって示し、

それが患者のストレスを軽減させたのではないかと結論づけています。

 

「手当て」についてアメリカの心理学者ケルトナーは著書の中でこのように述べています。

 

「人間は世話をすることや思いやりの文化の上で発達してきており、

触れることや触れられることには重要な意味がある。

そして、その効果は計り知れない」と。

 

また、彼は触れるという行為が大脳を刺激して、

オキシトシンやエンドルフィンが放出され

「手当て」は抗うつ薬と似た効果で幸せホルモンの

セロトニンを増加させるという研究を紹介しています。

 

この「手当て」を東洋医学では「気功」と言って良いです。

「気功」は中国5000年の伝統医療ですが、

実際に研究され現代医学と結びついたのは1955年と割と最近です。

 

「気」に関しての中国の医学は面白い。

「気」は目に見えませんが、確実に存在します。

 

全てのものに「気」が流れていると定義します、

それは宇宙から始まり、太陽、月にも気が流れているとします。

それが「陰陽」という概念を生み出し、

中国最古の医学書「黄帝内径」の中核になっています。

 

「黄帝内径」から「素問」「霊枢」という書が生み出され、現在の鍼灸の医療理論を構築します。

 

医療理論の構築は生き方や政治思想にまで派生し、儒教が生まれます。

その中で「易経」という書が書かれ。

占いや陰陽五行という概念を確立します。

 

火・水・木・金・土という五つの要素から世界は構成されていると定義し、

それは人間の身体の中にも存在し、

相生(陽)相克(陰)と二つに分類され、

それは性格や人格、体質も影響すると考えます。

 

五行の概念が五芒星を生み出します。

五芒星はキリスト教・ユダヤ教・イスラム教のシンボルでもあります。

五芒星の黄金比率は世界共通です。

これも実に面白い。

 

 

 

「易経」は「道教」につながる。

儒教は孔子で道教は老子。

道教は仏教と交わり特異な形を作ります。

「気を読む」という行為は風水、八卦などの占いの行為とつながっています。

 

道教では生を陽とし、死を陰とし、不老長寿を目的とします。

養生という考え方は道教から生まれたそうです。

干支や土用の丑の日などの日本でもなじみのある事柄も「陰陽」「五行」から生まれています。

 

 

つづく