■余命6カ月
2021月5月。
余命6カ月。
「もう、完治は無理だと考えて下さい。これからの治療は全て延命を目的とするものです。
何もしなければ、あと3か月ほどです。抗がん剤を使えば、6カ月ほどになるでしょう。」
と主治医から告げられます。
「いずれはご家族そろってお話をしなければいけない時がきます。」
と副看護師長が話します。
今、僕は自分の死を見つめながら書いています。
2019年4月に大腸がんが見つかりました。
37歳の春。
日本国内で年間約2万が発症するといわれる「AYA世代のがん」に罹患しました。
AYA(アヤ)世代というのはAdolescent&Young Adultの略で思春期・若年成人のことをいいます。
15歳~39歳の間を指すのですが、この時期は学業、就職、恋愛、結婚、出産など様々なライフイベントが目まぐるしく押し寄せます。
同世代が学校生活や仕事で活き活きと生活しているのを見ると、自分だけ取り残されている感覚が強くなり将来の不安や孤独を感じることが多いのが特徴です。
がんの治療により、これまでの生活は一変しました、ごく当たり前の日常が失われます。
今まで描いてきた淡い将来のイメージや夢は音を立てて崩れ去ります。
がん告知後の1年以内の自殺率は一般人口の24倍(一般社団法人日本サイコオンコロジー学会)で、その手段は飛び降りが40%・首吊が30%です。
AYA世代の15歳~39歳の死因順位のトップは自殺。
自殺の次に多いのが悪性新生物で年間700人が亡くなっています。
自殺に関しては19歳以下では主に学校問題に関して。
20代からは勤務問題に関して。30代では経済・生活問題が自殺の要因となります。
僕自身、大腸の半分を切除しましたが、リンパ節への転移があり、約2年半にわたる化学療法の副作用で何度もくじけそうになりました。
激しいアナフィラキシーショックで生死をさまよい、副作用による体力の低下と免疫の低下で誤嚥性肺炎になり死にかけました。
働き盛りでありながら、何もできない自分に情けなくなり涙を流しましたが何の解決にもなりません。
がんに罹患し「自立できそうにない.家族に迷惑をかけたくない」と遺書を残し23歳の若さで自殺した人の気持ちが痛いほどわかります。
僕は
「例え世界の終末が明日であっても、自分はリンゴの木を植える」マルチン・ルター
という感覚に共鳴します。
僕は自分がどんなにみじめになっても死ぬまで生きようと覚悟を決めました。
人生に苦しみを感じているあなたにも生きていて欲しいと願います。
僕に残された時間はもう長くないように感じます、それは日々確実に弱っている自分がいるからです。
つづく