ウエイトオーバーをしたガルシア。

 

日本のボクシングファンからは批判を浴びている。

 

勿論、欧米でも批判はあるだろうが日本ほどシリアスな受け止め方では無いように思う。

 

国民性の違い?どうなのだろう。正直分からない。

私は正直言ってそんなにシリアスには受け止めていない。むしろ計量失格しての試合としては楽しめた。

 

何故って?

これは元々WBC Sライト級タイトルマッチだったが、当のガルシアはSライトで1試合もした事が無い。

前戦はWBO世界ライト級9位のオスカル・ドゥアルテとWBAスーパーライト級ゴールド王座決定戦とやらをやる予定だったのにキャッチウエイトに変更している。

そもそもSライト級の世界ランカーだったの?ライト級の6位だったような。。である。

その時点で、プロボクシングのランキングって何なの?でしょう。

その時点で こんなの観ない!!って怒るならともかく、そこには特に疑問も怒りも抱かないのはどういう事??

そして不人気無敗王者と人気者の挑戦者。

 

怒っている人たちには正直、今更何言ってんの??とさえ思う。

 

思い出してみれば良い。

プロボクサーとしては1試合で最も稼いだ フロイド・メイウェザーを。

 

3階級王者ファン・マヌエル・マルケスvs5階級王者フロイド・メイウェザーを。

 

メイウェザーは135ポンドまでしか戦った経験のなかったマルケスに144ポンドというキャッチウェイトとしては珍しい大増量を受け入れさせたうえに、自分は60万ドルの罰金をして146ポンドに増量した。

 

知らなかった?それとも忘れてた?

 

そして日本のプロボクシングファン・マニアの多くが好きなマニー・パッキャオを。

 

パッキャオは確かに前人未踏な事をやり遂げ、アジア人としてアメリカで常にBサイドとして戦ってきた。

でもそれはデラホーヤを破るまで。デラホーヤに勝ってからはパッキャオはAサイドになった。

 

ミゲール・コットとのタイトルマッチではリミットを2ポンド下回るキャッチウエイトをコット側に飲ませた。

タイトルマッチなのに。だ。

アントニオ・マルガリートとのSウエルター戦は?  4ポンドも下回る150ポンド契約だ。

これもタイトルマッチだが、さらには両者ともこの階級で戦うのは初めてだった。タイトルマッチなのに。。

 

カネロ・アルバレスはメイウエザーとのSウエルタータイトルマッチでは152ポンドを飲まされたが、コットとの試合では

得意のカネロポンドである155ポンドで戦い、コバレフ戦では当日のリバウンド制限を飲ませた。

 

みんなが尊敬する?シュガーレイ・レナードは?

 

ある意味一番衝撃的だ。

ライトヘビー級のドニー・ラロンデにスーパーミドル級の168ポンドを飲ませた。

 

私は思う。日本人ってルールが大好きだ。何にでもルールを作って欲しがる。ルールがあれば思考を停止出来る。善悪がはっきりすると信じている。

 

例え真っ直ぐに伸びる直線道路で車が1台も走っていなくても赤信号なら信号を渡らない。が正しいと思っている。

 

裏を返せばどこかの日本の大手ジムがメジャー団体に根回しをして自身の手持ちのコマの王者を入れ替えるような事をしても誰も批判をしない。逆に試合に関係の無い謎のルールを破る選手が王者を返上すると逃げた逃げたと騒ぐ。。。

 

正直、幼稚過ぎてウンザリする。

 

勿論ウエイト・オーバーを正当化しているわけでは無い。

 

だが、過去のキャッチウエイトが契約だからというのならウエイトオーバーしても罰金を支払い両陣営合意の元で行われタイトルは王者のままであるならば、契約を合意したのだ。

 

嫌なら観なければ良いだけ。そういう人が多いならそういう契約は無くなっていく。

金を稼げないのなら淘汰される。

 

キャッチウエイト、不可解な判定、ウエイトオーバーでの試合決行。。。全てはAサイドの為にある。

 

パッキャオがヒーローなのはBサイドでありながら幾度もアップセットを起こしたからだ。

 

ヘイニーがKOしていれば。。。ヘイニーはAサイドになれたかもしれない。相手がガルシアなのでなれなかったかもしれないが。。。

 

プロボクシングはそんな理不尽な世界だ。誰もがAサイドになる事を夢見ている。

Bサイドにいる間は己の拳一つでどんな不利な条件でも勝ち続けるしかない。

そしてAサイドになれば金を稼ぐ為に貪欲に勝ち続けようとする。もっと、もっと、もっと。。。

有利な条件を相手に、過去の自分に突き付けて勝ち続けるボクシングに?いやマネーゲームに。

 

スポーツとしてだけの角度から見れば最悪かもしれない。だが人生と照らし合わせて見たり別の角度から見ると。。。

私はそれもまたアリかなと思ってしまう。。

 

決してウエイトオーバーそのものを肯定しているわけでは無い。

 

あらゆる理不尽を己の拳一つで黙らせていく事とそんなヒーローがAサイドになってからゲスな人間味を出していくのを見るのにも興味がある。

 

ようこそプロボクシングの世界へ。