そろそろ、さよならしなくちゃいけない。
術後の飲み薬ももう少しで終わってしまう。
そして、次の子達が待っているよ。
きみは男の子だから、
たくさんたたかってきたんだね。
これからは、ケンカしたらだめだよ。
もうケンカする必要ないんだからね。
本当は身体を優しく撫でてあげたいけど、
君は人間を信用していないから、
触れてあげることさえできないけど、
強く生きなきゃだめだからね。
先生も君の顔と爪の傷を心配して、
多目に薬を出してくださったんだから。
ここにいる間に少しでも体力回復して、
元気に生きるんだぞ。
とってもきれいな毛並みをしてるのに、
君も人間を信じていないから、
撫でてあげることもできない。
ごめんね…
君たちをこんなに警戒心強く、
人間不信にさせたのは、
紛れもなく、人間だね、ごめんね。
本当はね、
できるなら君たちをReturnさせたくないよ。
できるなら、
君たちを家族に迎えてくれる人間のもとに
連れていってあげたいんだ。
でも、
それは今は無理だと思う。
君たちが悪いんじゃないよ。
きっと、
君たちのお母さんは人間に捨てられたんだね。
そうして君たちが産まれた。
君たちが産まれたとき、
君たちは人間の優しさに触れることなど
一度もなかったんだ、きっと。
君たちを守ってくれたのはお母さん。
そして、
自分自身だったんだよね。
…たくさん苦労したね。
ひとつだけお願いがあるよ。
それはね、
自動車に気を付けるんだよ。
走ってる自動車に当たったら、
助からないから…。
君たちの無事を
いつも祈っているよ。
今夜もゆっくりおやすみ。