プラチナ触媒とベンジンの化学反応で発熱する原理を用いた懐炉、
ハクキンカイロに適した燃料は何なのか、インターネット情報は事実なのかを
調べるべく、今回は市販されている三種類の銘柄の燃料を比べてみました。
（※懐炉とは何ぞやについては過去の記事を参照のこと）
実験で使った燃料は、この三種類。
左から東薬カイロ用ベンジン、ジッポーライター用オイル、
そしてハクキンカイロ専用ベンジン。
この三種類の燃料を使って実際に検証してみました。
なお、実験で用いたカイロはジッポーカイロです。
ハクキンカイロのＯＥＭと言われています（本体中国製、口金日本製）。
本体も日本製であるハクキンピーコックよりいくぶん安く出回っています。
刻印と通気口の配置のデザインが異なる他はほぼ同じです。
実験条件は、計量カップで１２時間の目盛のところまで注ぐこと２回、
懐炉に染み込ませて直後に口金に着火、身に着けて屋内で使用しました。
これが計量カップです。６時間刻みの横線がモールド成型されています。
まずは東薬カイロ用ベンジン。
「カイロ用ベンジン」と名の付くもので、一番よく目にする製品です。
今回使用したものの中では一番安価でした。
某日、注油時間は午前１時４０分。直後に着火。
使用時の大阪中心部の最低気温が６．４℃、最高気温は１０．５℃でした。
人肌またはそれ以下の温度を目安に、
燃料切れ（消火）推定時刻は午後６時０分頃でした（誤差±１０分）。
懐炉として機能していた時間は、およそ１７時間２０分でした。
続いてはジッポーライター用オイル。
徳用缶は、ホームセンターなどでよく見かけます。
米国からの輸入品なので計量法は意味を成さないのか、１２オンス入りです。
横に換算値の３５５ｍｌが併記されています。
某日、注油時間は午前１時０分。直後に着火。
使用時の大阪中心部の最低気温は６．３℃、最高気温は９．６℃でした。
燃料切れ推定時刻は午後８時３０分頃でした（誤差±１０分）。
懐炉として機能していた時間は、およそ１９時間３０分でした。
最後に、ハクキンカイロ専用ベンジン。
「純正品は、持ちが良い。」そんな情報が溢れていましたが、近所の
店頭ではお目に掛かれず通販で取り寄せて購入しました。
価格は容量を同じに置き換えて計算すると、ジッポーオイルと同程度。
東薬製より値段は少し高めでした。
某日、注油時間は０時ちょうど。直後に着火。
使用時の大阪中心部の最低気温は４．５℃、最高気温は１１．４℃でした。
燃料切れ推定時刻は午後８時０分頃でした（誤差±１０分）。
懐炉として機能していた時間は、およそ２０時間でした。
この結果、燃焼時間が一番長かったのは噂通り、ハクキン純正品でした。
ジッポーオイルも３０分差ですので健闘した方です。東薬製は明らかに
他の２つに比べて燃料の持ちが悪いようです。
続いて、使いやすさについてもテストしました。
注ぎ口が重要な要素となります。
まず東薬カイロ用ベンジン。
反時計回りに９０度ほどひねると、注げる状態になります。
ただ、スムーズに注げず、点滴のように遅く滴下される時が多く、さらに緩めると
角度を少し間違うこともよくあり、ベンジンが溢れ出て手を汚します。
次はジッポーライター用オイル。
注ぎ口が折り曲げられていて、これを爪楊枝等の先の細いものを使って
起こして注ぎます。面倒ですが注ぎやすくて、溢れる心配はありませんでした。
最後にハクキンカイロ専用ベンジン。
中蓋があり、これを開栓してから二段締めの赤いキャップを締めなおします。
注ぐ時は一旦止まる所まで緩めると、スムーズに注ぐことが出来ます。
使いやすさの点でもハクキン純正品がいちばん好印象でした。
ついでジッポーオイル、最後に東薬製の順番でした。
ならばハクキン純正品を使いたいところ。しかし残念ながら取扱店が少ないので
ジッポーオイルの方が手に入りやすいです。
中身は全てナフサなのに、どうしてこのような差が出たのか、解りかねますが
東薬製のものがあまり良い評価が出来なかったので、せめて使いやすさの
一点だけでも改善してほしいものです。
また、結果を出しておきながら販路が乏しいイメージを残したハクキン
純正品ももう少し手に入りやすくなるよう、頑張っていただきたいものです。
最後に、疑問に残ったのは、どれもが目盛の２４時間に届かなかった点。
口金も新しく、原因が分かりません。２４時間を謳っているのなら、もう少し
暖かさを保ってもらいたかったです。
ハクキンピーコックなら２４時間持ったのだろうか、それも疑問です。
※２０１７年１２月追記:
ハクキンカイロ純正ベンジンの流通が終了したようです。
代わりに「ハクキンカイロ指定」ベンジンが流通しています。
こちらをお薦めします。