あの頃のわたし。
自分なんて可愛くないと思ってて。
自分なんて誰からも好かれないと思ってて。
教室の隅で、
みんなから離れて、
目立たないようにカーテンの陰に隠れて、
休み時間が終わるのを、ひたすらじっと息をひそめて待っていた。
あの頃のわたし。
明るくて、
友だちもいっぱいいて、
わたしの出来ないことも、先に出来るようになっちゃう────
そんな妹が妬ましくて。
彼女を意地悪な言葉でねじ伏せて、
自分の思い通りに支配しようとした。
あの頃のわたし。
あの頃のわたしを。
思う存分、ぎゅっと抱きしめて。
「頑張ったね」って、ヨシヨシしたなら。
今目の前にいる、
あの頃の自分そっくりに見えるこの子を、
心から、可愛いと思えるだろうか?