ぐっすり眠れていたけど、痛みで目が覚め、唸って泣いて震えて悶てた。

午前3時。

アルピニー座薬は6時間開ければまた使える。
ちょうど、6時間経った頃にこうして痛みを訴えてくる。

看護師さんが座薬を用意してくれる間、さくを膝に座らせて、話しかけた。

さく、痛いねぇ。
もうそろそろ、身体が痛いのは理解できたから卒業しますって、自分で決めたら?
そしたら、石がコロンって出てくるんちゃう?

さくは、やっぱり、モデルさんなりたいの?

「うん」
しっかり頷いた。

心臓の手術とか、今の痛いのとか、こんな大変なこと乗り越えたら、大きくなって、モデルさん目指してるとき、もし大変なことに出会っても、こんな大変な手術乗り越えて、こんな痛い思い乗り越えてんし、私には出来る!!って、思えるんちゃうかな?

良い体験できました、ありがとうって、手放して、そろそろ次の段階行こうよ。

かーちゃんはな、決めてることはただ一つ。
さくの人生の学びが全う出来るよう、寄り添えるだけの精神力と体力を維持します、やねん。
そやけど、それは根っこのとこやし、かーちゃんも宣言しよかな。
まひとさくとあーちゃんとかーちゃん、4人で、また、お家で楽しく元気に暮らします、って。

もうな、自分が決めたことが実現する世界におる。
そうやとして、なんで心臓の手術の上に2回も心臓止めかけて、敗血症で、トドメが尿路結石なんかはわからんけど、フルコースなら、結石がデザートで、もう堪能したから。
ごちそうさまでした、で、ええやんか。
な?

今回もたくさんたくさん、支えてもらったなぁ。
うれしいなぁ、ありがたいなぁ、あたたかいなぁ。
さくの心臓は、みんなからもらった元気玉がいっぱい詰まってるなぁ。
ほんで、いらんもんは、結石にして今から、それこそ、水に流すんやろ?

ありがとうやなぁ。

そんな話をしていると、看護師さんが座薬を持ってきてくださった。
一瞬だけ、眠りに落ちるさく。

真夜中3時。
この時間の小児科は、起きている子供の叫び声が響き渡る。


今夜は、痛い、痛い、泣き叫ぶ子供。
さくと、同じだな。

先日までは、おかあさん、帰ってきてー、の子供もたくさんいた。
多分、おばあちゃんかお父さんが付き添い交代していて、ふと目覚めて寂しくなったんだと思う。

子供にとって、病院にいてもどこにいても、自分がいるところが母親が帰ってくる場所なんだな。
まひは一度もこんなことを言わなかったから気付かなかった。
母親にはいつでも帰る場所があるということ。
私なら、さくであり、まひであり。

子供たちには本当に感謝しか無い。

先日、まひが言った。
「最近、テレビを見れば婚活婚活って。
かーさん見てると、結婚なんて人生の一部にしか思えん」
すみませんねぇ、中学生にそんなこと言わせて。

まぁ、結婚そのものが幸せとは限らんけど、かーさんが自信持って言えるのは、子供がいる幸せは最高やったで。

「お?おぉ。。。
なんか。。。ありがとう。。。」
なに照れてんねん。

まぁ、結婚せんでも子供は産めるけどな。

「かーさん、私中学生やし」
あ、ほんまや。
ごめんごめん。
まぁ、そーなっても、かーさんさくと一緒に育てるで。

「いや、残念ながらその片鱗もないしな」
恋愛に興味のないまひ。

いろんなことに思いを馳せる、午前3時。