昨日の一読は第13章「「人間」の終焉と比較認知科学の完成」の途中まで(185ページ)です。この中で渡辺先生はレヴィ−ストロースの思想を取り上げていました。興味深いと感じたのは、レヴィ−ストロースの学術的貢献を前向きに捉えながらも、渡辺先生はレヴィ−ストロース自身が西洋型知識人の枠組みにとどまっていたのではないかと問いを立てていたことです。
たしかにレヴィ−ストロースの思想は西洋社会の中で際立ったものがありますが、冷静に見れば、西洋思想が人類の最先端という前提が浸透しすぎているだけだということに気づかされます。西洋思想の中で革新的な考え方を提示しても、どこまでいっても相対レベルの話にすぎないと感じました。
その最たるものがレヴィ−ストロースの「文化相対主義」だと思われます。西洋が歩んできたことが人類の唯一の道ではないことを西洋人は本当に素直に受け入れ難いのだと思います。その弊害は人類だけにとどまらずに、動物をはじめとする生き物や地球全体、いずれは宇宙にも影響するかと予想すれば、一人ひとりが何をすべきかは自ずから明らかになると信じています。