今日から「人の巻 報徳の仕法」に入り、「第八篇 国家盛衰の根元」です。今日の一日一読は「〔178〕衰亡は利権の争奪から」でした。国家の盛衰というぐらいだから、国家の制度や仕組みの話が中心かと思いきや、 内容は全然違っていました。
尊徳にとっては、国家の盛衰は、人間の問題が大きいと考えられていました。それも富者も貧者も両方です。今日では国民一人一人の問題というよりかは、格差社会という言い方に現れているように、国家の問題だと考えられているので、逆にとても興味深かったです。
「富者は足るということを知らないし、世を救うという心もない。あるが上にも願い求めて、手前の勝手なことばかり工夫し、天恩も知らず、国恩も思わない。貧者は貧者で、何とかしておのれの利益をはかろうとするが、別に工夫もないから、納めるべき村費を滞らせたり、出すべき小作米を出さなかったり、借りたものを返さなかったりしている。」(238ページ)
ここで尊徳が言っていることはそれほど驚くべきことではないと思います。富者も貧者も余裕がなければ、行われてもおかしくない行為ばかりだからです。それを尊徳は義を忘れた行動だと見ていました。
では、そのような人たちをどのように変えられるのか。それこそ尊徳の仕法の特色です。これまでも部分的には紹介されてきていましたが、本篇でどこまで全体像が掴めるか楽しみです。