始めに。
どうしても守りたい人がいる。
そのために俺はこれを完成させた。
守るためならば、どんな犠牲を払ってもいいと思って作り上げた。
この設計書は
1体の兵器を生み出す。
もし、これを読んでいるお前が
俺の血に連なる者ならば、
遥かなる時を生きるであろう彼女を守ってくれ。
守るための手段がなくなったときに、
この設計書を紐解け。
そして、お前が存在する時代の知識と技術を与えるがいい。
この設計書は
1体の兵器を生み出す。
人の形をした
人にあらざる物を生み出す。
その力で、俺の愛する人を守って欲しい。
それが誰なのかは、
生まれてくるその子が知っている。
~第六代族長・皇八代怜斗の手記より復元、引用~
繋ぎ手の欠片へ
彼が求めたならば、
出来うる限り
その要求に応えてあげてください。
出来うる限り耳を傾け
出来うる限り心を澄まし
出来うる限り
あなたの力を貸してあげてください。
彼はすべての事象を思い、祈り続けます。
光を絶たれ、希望を失い、
死が彼の頭上で翼を広げても、
彼は祈りを捧げています。
その祈りは、
天に届かず地に届かず、
されど人の心に届くと信じ、彼は彷徨い続けるのです。
だからどうか、
彼がもし、あなたに何かを求めたならば、
そして、
その要求に少しでもわずかでも応えられると感じたならば、
どうかどうか、
手を差し伸べてあげてください。
~セントガダレスの口伝より引用~
旅の終わり
「それ」が何かと問われれば、答えは幾通りもある。
時間を越え
空間を越え
人の形をしていれば、物の形をしてることもある。
目に見えぬ存在(例えば「力」や「信仰心」や「言葉の意味」のようなもの)としていることもあれば、
世界そのものであったりもする。
「それ」は
そのようにして全時空間に存在し、
そのようにして全時空を繋ぎとめている。
姿を変え形を変え、
「それ」は欠片を探し続ける。
6つの欠片を手に入れたとき、「それ」は歴史の岐路に立つ。
「継続」と「回帰」の選択肢。
その答えはどちらだったのだろう。
私達には分からない。
なぜならば、
私達の歴史が「継続」の結果なのか、
「回帰」の結果なのか
それを知る術を持たないからだ。