the Will To Live -2ページ目

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「一般人が入って大丈夫やトか。」
「何が?」
「【高天原】の扉ヨ。」
「んー…。」


the Will To Live

「ま、俺たちがどうこうするよりは、専門にやらしちょった方がいいって。」
「そうやろうか。」
「じゃーて。」

「大丈夫やガ。どうやったってあれは開かんし。」

「高天原の扉は、皇族にしか開けられん。その皇族も【清徳院】様しかおらんし、その清徳院様も生きちょっかどうか…。」
「生きちょっじゃろー。」


「死んじょったら、今頃ジャポネは無くなっちょるワ。」
「そーやねー…。」


「そろそろ時間やないト?」
「おろろ、時間じゃ!」




the Will To Live






約束の日時、シーバは指定された場所へやってきた。
ジャポネ王国の南方地域【八代(ヤツシロ)】。彼が訪れた街は八代で一番大きな都市だ。

(『高科刀剣店』は……、あった。)

その店の前で、契約した傭兵が待っているということだった。
傭兵とはいうものの、シーバにとってはとても心もとない人材であった。
店の前にたたずむ1人の男がそうなのだろう。

案の定、とても戦闘向きとは思えぬ軽装。頭には浅黄色のバンダナを巻いている。

どうか違っていますようにという淡い期待と
多分当たっているだろうという強い不安を胸に、シーバはその男に声を掛けた。

「あの…、タイトさん…ですか?」
「…そーやケド?」

(…そうだけど?)

シーバの肩に、何やら重たい空気がもっそりとのしかかった。

「何や?新手のナンパ?」

タイトが真剣な表情で話しかけてきた。
思わぬ言葉にシーバは慌てふためいて否定する。

「ち、違いますっ。
僕は【ヒラバル・シーバ】です!」

だが、タイトはヘラヘラ笑って困ったように頭を掻いた。

「だからぁ、名前を教えられても俺にはもう心に決めた女と恋人がやナー…」
「だから違いますっ!!」

突然の大声に驚いたのか、タイトの表情が一転して真顔になり、シーバの顔をじっと見つめる。

タイトの不可解な行動にシーバはたじろいでしまった。

「な、何ですか…?」
「でも、お前…美人やナ。」
「はあ?」

またしても、タイトはエヘラエヘラとニヤけ出した。

the Will To Live

「美人やったら…まあ…男でもいいかナ♪」
「僕はナンパしているのではありませんっっ!」

すると、きょとーんとして男は首を傾げた。

「は?違うト?なぁんだ、そンげなこつぁ、早ぅゆーてや~。」

(は?違うの?なぁんだ、そういうコトは、早く言ってよ~。)
「さ、さっきから言っているではありませんかっ!!」

必死の思いが通じたのか、一応、変な誤解は解けたようである。
そして、タイトは何かを理解したように両手をぱんと叩く。

「ああ、分かった!俺の【雇い主】カ!!」
「そうです。ああ、もう。人の話はちゃんと聞いてください。」

シーバはほっと胸を撫で下ろし、少し下がった眼鏡を元の位置にかけなおす。
タイトもようやく状況が把握できたらしく、にっこにこしながらこちらを見ている。
シーバの表情にもようやく笑みが出てき

「んー…、で?」
「はい?」
「いや、ほら。『はい?』じゃなくて、お前の名前。何て言うト?」
「………。」

…出てきていたのだが、すぐにそれも引っ込んだ。

何やら重たい空気がずしんとのしかかり、
シーバは今にも潰れそうな思いでいっぱいになった…。