ブロンド少女は過激に美しく | こみたんの映写会

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2010年 ポルトガル制作

1908年生まれの巨匠、マノエル・デ・オリヴィエラの100歳の記念すべき
作品

19世紀のポルトガルの文豪、デ・ケイロスの短編小説が原作

時代的にゲーテの時代

ある会計士の青年が、隣の家の窓で中国の扇をもった、麗しい女性に恋に落ちる


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紹介者を通じて叔父の反対も乗り越え求婚にいたるも、
ある事実が発覚しその恋が破綻する

妻にも親友にも話せないことは見知らぬ人に話せという
箴言に従い列車で隣あった夫人に
打ち明けばなしを始める

原作を尊重しながら、現代的な脚色をほどこしています

64分という短編ながら、画面から格調高さが漂ってきます



リスボンの街を捉えた朝焼けや、レトロの色合いの高い調度品

石造りの街並みと石畳の美しさがとてもいい

そして青年の心を一目で捉えた、ルーイズの艶やかな髪と、
濡れたような瞳が際立って印象的

特に扇の動かし方がエレガントでした


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マカリオも恋に情熱的な青年を好演
けれど19世紀のお話を現代に置き換えただけに

結末が途中でわかってしまうし、現代では衝撃的な終わりではありませんでした。
ブロンド少女は過激ではありませんでした

ただラストシーンのセリフがなく、椅子の座り方で少女の内面を描写しているのは見事でした

ポルトガル文学の至宝
ペソアの詩、ハープで奏でるドビュッシーのアラベスクが美しく
時を告げる鐘が心地よく

物語に派手さは無いものの、静かで趣きがありました