ダンナの涙 | 失語症になっちゃったダンナと私の日々 

失語症になっちゃったダンナと私の日々 

2022年12月末、定年退職後、大学院で勉強していたダンナが脳梗塞で倒れ、失語症になりました。
今はリハビリに通い、緩やかな生活を送っています。そんなダンナと私との日々の暮らしを綴っていけたらと思っています。

 

 元旦から熱を出して滝汗寝込んでいたダンナだが、

 

 一昨日からリハビリ再開ニヤニヤ

 

 今日もバスバスに乗ってリハビリに行きました。

 

 

 

 

 昨日は久しぶりに近所のスペインバルへgo白ワイン赤ワイン

 

 安くて美味しいがウリだったのが、

 

 かなり値上げされていましたポーン

 

 

 

 金曜の夜は、いつも賑わっているのに、

 

 空席が目立っていました。

 

 だからなのか?

 

 しかし、このご時世、値上げは仕方ないかニコニコ

 

 

 

 

 先日夜、テレビで奥さんを亡くされたダンナさんの、

 

 再現ドラマをしていた。

 

 

 3時間スペシャルの番組だったかな。

 

 

 簡単に言うと皮膚がんになった奥さんが、

 

 治療の甲斐なく転移して、亡くなってしまう話。

 

 

 そこには、食を通じて旦那さんとの深い絆があったラブラブ

 

 

 

 

 私が先に亡くなったらダンナは泣くのかな、

 

 死んだらどうして生きていくのかなと、

 

 思いながら観ていたら、

 

 ダンナが風呂から上がってきた真顔

 

 

 こういうヒューマンものは、

 

 元々ダンナは嫌いだったので、

 

 チャンネルを変えられたくない私は、

 

 

 「今日はもう自分で、

 

 ドライヤーしてね」と、

 

 

   洗面所にドライヤーをセットしていることを伝えて、

 

 ダンナを洗面所に行かせた。

 

 

 

 しかし、1分もしないうちに戻ってきた。

 

 

 

 「早ッ」真顔

 

 

 もう少しこの再現ドラマ、観たかったのに・・・。

 

 

 

 

 ダンナにチャンネルを替えられる・・・とハラハラしたが、

 

 ダンナも横に座り一緒に見始めた。

 

 

 

 チャンネル替えるなよぉ。観てるんだから。

 

 

 

 奥さんが旦那さんの為に書いたレシピで、

 

 ダンナさんが奥さんの為にスープを作って、

 

 病床にいる奥さんにスープを持って行くと、

 

 奥さんが「美味しい、美味しい」と食べてくれた。

 

 最後は「素敵な恋だったね」と言って、

 

 奥さんが旅立って行った。

 

 

 

 そして死後、奥様からの手紙があって、

 

 そこには、まだまだ若いのだから、

 

 やり直せる。

 

 これからも美味しいものを食べて、

 

 美味しいとお互い言いあえる方と、

 

 幸せになって下さいという内容だった。

 

 

 

 自分はそんな事を言えるだろうか。

 

 

 この奥さんはダンナさんの事を、

 

 とても愛しているのだと思った。

 

 

 

 

 

 私なら自分が死んでも、

 

 自分だけをずっと想っていて欲しいという傲慢な考え方だ。

 

 

 

 

 人間ちっさー真顔

 

 

 

 

 ダンナの方が年上なのでダンナは以前から、

 

 自分の方が先に死ぬと宣言していた。

 

 

 いや、私の方がコーヨー(スーパー)に買い物行く際に、

 

 車に轢かれて先に死ぬって。

 

 

 

 そんな会話、よくしていたなぁ。

 

 

 

 ダンナに以前、聞いたことがある。

 

 

 

 ダンナが死んだ後、別の人と結婚していい。

 

 

 「死んだらいいよ」と。

 

 

 そうなんだ。いいんだ。

 

 そんなもんか。

 

 但し、生きているうちはダメですよって。

 

 

 寛大だなと思ったが、その通りなんだよな。

 

 

 死んでからもその人を縛り付けてはいけない。

 

 

 

 んで、この再現ドラマが終わって、

 

 ゲストの方が映し出された時、

 

 坂下千里子さんがぼろ泣きしていた笑い泣き笑い泣き笑い泣き

 

「涙が止まらないんです」と苦笑していた泣泣泣

 

 

 

 私は少し冷めた目で見ていたが、

 

 隣のダンナを見るとダンナが泣き顔?

 

 

 

 ん?

 

 

 

 涙が止まらない千里子さんを観て、

 

 苦笑しながら泣いているポーンポーンポーンポーンポーン

 

 

 

 こんな表情みたことないチーン

 

 

 

 

 ダンナの目尻に涙が・・・泣泣泣

 

 

 

 

 

 

 

 

 うそぉ真顔

 

 

 

 

 

 

 

 脳梗塞になると涙もろくなると情報を得ていたが、

 

 ダンナもその部類に入っていたのか。

 

 

 

 「えっ、泣いてるの」

 

 

 「いや」笑い泣き

 

 

 

 

 泣いてるやん。

 

 

 

 以前のダンナじゃ到底考えられないことだ。

 

 

 

 自分がすべてで、すぐに切れる・・・ムキームキームキー

 

 

 あの時のダンナ、どこ行った?

 

 

 どこ行ったという性格もあれば、

 

 ダンナらしさの良い所は、ダンナからは消えてなかった。

 

 

 

 昨晩のスペイン料理屋のトイレでもそうだ。

 

 大抵、男の人が入った後にトイレに行くと、

 

 便座が上がったままになっている事が多い。

 

 

 ダンナの後に行ったら、

 

 必ずトイレの蓋はちゃん閉じてられていたニヤニヤ

 

 

 

 脳梗塞後も、こういう所が失われてなくて、

 

 本当に良かったと思う。

 

 

 

 ダンナがトイレットペーパーを補充してくれているだけで、

 

 幸せな気持ちになる。

 

 

 

 以前はまったくそんなことしなかったから。

 

 

 

 買ってきたトイレットペーパーが、

 

 そのまま一週間以上置きっぱなしの時もあった。

 

 

 

 

 トイレットペーパーぐらい片づけてよムキー

 

 

 

 この時ダンナは、大学院の課題研究に没頭していた。

 

 

 

 私は、不平不満で一杯だった。

 

 こっちも意地で片づけなかった。

 

 

 

 それが不思議と倒れる直前に片づけられていた。

 

 

 今でも、不思議だなと思っている。

 

 

 

 

 

 

 以前では考えられなかったダンナの涙笑い泣き

 

 

 

 もう以前のトゲトゲのダンナではない。

 

 

 寂しさもないわけでもないが、

 

 今の穏やかなダンナも、それはそれでいい感じ。

 

 

 

 恐らく脳にフィルターみたいなのが、

 

 かかっているんだろうな。

 

 

 その向こうに以前のダンナがいる感じ。

 

 

 

 ブルースウィルスが失語症になった時、

 

 「あーぁ」と何とも言えない顔で、

 

 思わず声を漏らしたダンナ。

 

 

 ダンナは映画が大好きで、

 

 ブルースウィルスの映画も沢山観ていた。

 

 

 あの時のままのダンナで今を体感していたら、

 

 鬱になっていたかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 大切な方を亡くされた方は、

 

 どんな姿でも良いから生きていて欲しいと思うだろう。

 

 

 

 

 そう思うとたとえ話せなくても、

 

 文字が殆ど書けなくても、

 

 一緒に過ごして笑ったり、怒ったり、

 

 傍で温もりを感じることが出来ている事は、

 

 とても有難い事。

 

 

 

 

 

 

 今、この瞬間を大切に。

 

 

 

 未来は分からないのだから。