先日のこと。

かのんを学校へ送り、仕事に行ったら1時間もしないうちに「咳が止まらない」と呼び出し電話。

溶連菌からのクループでその咳が残っていたのだ。

いつまでたっても終わらない看病。電信柱がいっぱいで、空を見上げてもせっかくの青が台無しだ。空の青とはうらはらに、心が黒くなっていく。

はぁ、、、

ため息をついて歩いてると、日向で緩やかな風に吹かれて、謎の生き物が気持ちよさそうに寝ている!犬とか猫じゃないな。。。




「ちょっとあんた!」道路の向かいから弱々しい老婆の声が聞こえる。まわりを見渡しても、その老婆の指さしを見てもどうにも私に向いている。そして私を手招きする。

「どうしました?」と近づくと「あれ、寝てた?死んでた?」

どうも謎の生き物が気になっているらしい。

「あんたあれ何だと思う?」と聞かれて
「あーえーーーっと、、、スカンクかアライグマですか?」と答えると「いやどうみてもハクビシンでしょ!」と弱々しい老婆が私のトンチンカンな答えに力強く突っ込んできた。

「すみません。動物詳しくなくて」

というと、その老婆が、トンチンカンな私にお願いがあるという。

ハクビシンから目と鼻の先の交番に、放置されているハクビシンを回収してほしいとお願いしたものの、自分で役所へ電話するよう言われたらしく、携帯を持っていないからかけてほしい、とのことだった。

電話をして、いろんなところへぐるぐる回されて、いっぱい質問された。私も頼まれて電話している旨伝えて、なんとか最終的には回収してもらえることになった。

目の前で電話のやりとりをずっと聞いていた老婆が、回収してくれることがわかるとホッとした様子で、

「携帯もないし、病院帰りで疲れていて、このまま放置もできなくてどうしていいか困ってたから、あんたと出会ってよかったわよ」とにっこり笑って言ってくれた。

さよならをして、かのんの学校へ向かう。
さっきまで黒くなりかけた心が少し晴れていた。

あー、私みたいなもんは、落ち込んでる暇があったら、人のために動けってことなんだな。

なんとなくそう思った。

そしてかのんを早退させて病院へ。病院が終わる頃知らない電話番号からかかってきた。

ハクビシンを回収しました。東京都って書いてあるボックスは、ゴミ回収のところへ置いてもいいですか?と聞かれた。

お礼を伝え、私は頼まれて電話しただけで、それ以外のことは分からないです。

そう言って電話を切った。

今都会では、空き家にハクビシンやタヌキが住みついてしまって問題になっているとあとから知った。

餌を求めて田舎から出てきて増えたのだろうか?

いろんなバランスが崩れているんだなとヒシヒシ感じた。けど、電線だらけの空だけは何も変わらず青かった。



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