皆さん、こんにちは。
「読書より政治を斬る」の第24回です。今回の本は、「原発社会からの離脱」です。
福島第一原発の爆発事故以来早や2年の年月となりました。未だ被災地
の住民は避難先から帰宅もままならないのが現実の姿です。政府も地
方自治体も一日も早く復興をと努力はしていますが、なかなかその希望
は進みません。その因の一つに残留放射能問題があります。
確かに原子力発電に関し賛否の意見は以前からありました。反対意見
にも色々ありましたが、いわゆるバックエンド、つまり使用済み核燃料
の処分について未だ明確な指針が無い以上原発推進は認められないと言
うのが大きな意見でしたが、まさか今回の様な予期せぬ震災から生じた
津波が引起した原発爆発の可能性を恐れての反対意見はこれが実際に発
生する迄はほとんど聞かれませんでした。
「原発社会からの離脱」(講談社現代新書・宮台真治、飯田哲也)は
原発の危うさを訴えて来た原子核工学者と社会学者の対談の一冊です。
特に原子核工学者の飯田氏は早い時期から原子力発電への問題意識を
持ったが故にこの産業から離れ、同様の考えから脱原発へと歩を進める
北欧で学び、我国にもその考えを伝えて来た一人です。
将来へ向けてのバックエンドの問題を側においておけば、そして今回
のような不測の事故が起らないとすれば原子力発電は二酸化炭素を排出
して温暖化の弊害を起さないし、又資源としても我国に在庫もあり、
安定供給も出来、他の化石燃料に比しても安上りでありとメリットを否
定できません。
しかし放射能の危険性と前記のメリットとのどちらを取るかとなると
意見は別れ、著者達は脱原発こそ正解と主張します。勿論その時には原
発に代わる電力源を示さなければ説得力を持ちません。彼等は北欧に
倣って再生エネルギー(国力や太陽光等)の活用と彼等から見る経済性
を主張します。彼等と私は意見を異にしますが、違いを知ってこそ更に
良い解決法が、即ちエネルギーとしての電力の安価、安全、安定の主役
を決定出来るでしょう。<了>
自由民主党
福岡県第九選挙区 支部長
衆議院議員
三原 朝彦