広島市八丁堀で身原皮ふ科・形成外科クリニックをしている身原京美です。
現在シミについてお話しています。
一口にシミといっても医学的にはさまざまなものが含まれ、シミの種類によって適した治療法も異なり、代表的なシミには以下のものがあります。
- 老人性色素斑:丸い茶色~茶褐色のシミ
- 肝斑:主に頬にみられる目の周りを覆うよう両側のシミ
- 雀卵斑(そばかす):頬を中心に多発する小型のシミ
- 脂漏性角化症:少し盛り上がりのある、いわゆる〝老人性のイボ〟
今日は多くの女性のお悩み点である、
2.肝斑:主に頬にみられる目の周りを覆うよう両側のシミ
についてお話します。
肝斑とは
20~40歳の方に多く見られる褐色のシミで、網目状になることもあります。
左右対称の場合が多いのですが、左右差が少しみられる場合もあります。
女性に多いのですが男性にもみられます。
高齢(大体80歳以降)になると、良くなってきます。
肝斑は診断が難しい!
必ず専門医の受診を!
肝斑の治療にあたり、大きな問題点があります。
それは、診断の難しさです。
肝斑の診断の難しさは、典型的でない肝斑が多いことと、他のシミとの合併がとても多いことです。
適切な治療には正しい診断が必要ですが、肝斑を正しく診断するのは、実は熟練した皮膚科医にとっても難しいことなのです。
典型的な肝斑の診断はそう難しいことではありません。
典型的な肝斑というのは、両側のほほ、特にほお骨の上や額、唇などにべたっとした茶褐色のシミがみられます。ときには網目状に見えることもあります。
目の周りにはみられません。
しかしながら、私の印象ですと、典型的でない肝斑の患者さんのほうがむしろ多くいらっしゃると思われます。
肝斑単独という方はむしろまれで、なんらかの他のシミが一緒にある方が多いのです。
そして、肝斑とその他のシミは治療方針が異なります。
肝斑の治療には診断がとても大切で(そのため当院ではお化粧を落としての診療をお願いしています)、
気にされている部分だけでなく、シミの数や色、分布などで診断をしていきますが、さまざまな種類のシミが含まれていることも多く、複数の方法を組み合わせていくことで効果を出していきます。
その方のベースの肌の状態も治療にとても大切な要素ですので、ここだけ診て欲しい、という場合でもしっかりとお顔全体を拝見するのがとても大切なのです。
肝斑の治療法
内服薬が有効!
肝斑は、シミでは唯一といっていいくらい飲み薬の有効性が高いシミです。
飲み薬の有効性は高いのですが、飲まなくなると再発し易いのが難点です。
知らず知らずにやってしまっている「間違ったスキンケア」の見直し
肝斑ではスキンケアの方法もとても重要です。
多くの方はスキンケア方法に問題があることが多く、具体的にいうと〝こすっている〟という問題点です。
こう申し上げると、〝私はこすってない〟と思われる方が多いのですが、実際ご本人がこすっていないと思うような手の動きでも、すり込んだりこすったりになっていることが多く、実際に診察室で普段のスキンケアをお聞きして、問題点を指摘させて頂いています。
レーザートーニング
以前は肝斑にはレーザー治療は適さないとされてきましたが、
近年、レーザーを低めの出力であてることで改善が得られたという報告があり、
肝斑治療には、さかんに「レーザートーニング」が施行されています。
そんな中、レザートーニングを受けた患者さんに白斑(肌の色が抜ける)が生じたという報告も複数みられるようになっています。
そして白斑の治療はかなりやっかいなのです。
さらには肝斑の悪化がみられることもあるようです。
美容面のデータは大規模なきちんとしたものが少なく、他の病気のデータなどと違って本質が見えにくいものが多いのですが、特にレーザートーニングに関しては有効性のきちんとしたデータが見当たらないのが現状のようです。
肝斑のあるなしで、他のシミ治療に影響が…!?
シミというものは、1種類だけでなく、数種類のものが混ざって存在していることがあります。
中でも、2. 肝斑の有無がシミをなんとかするにはとても重要です。
肝斑があると、レーザーやフォトなどの機器治療で悪化することもあるからです!!
肝斑がある方にも機器による治療は可能なのですが、飲み薬やスキンケア指導をしっかりと行い、肝斑を良くした状態で行わないと、悪化する可能性があります。
だからこそ肝斑の適切な診断・治療がとても大事なのです。
身原皮ふ科・形成外科クリニックのHPはこちら→https://www.mihara-cln.com/