(158)千葉県山武郡芝山町 渡来人の王の埴輪か? 殿塚・姫塚古墳と中台3号墳

殿塚・姫塚古墳と中台3号墳は、芝山古墳群(前方後円墳4基、円墳13基)に属し、太平洋にそそぐ木戸川上流左岸の台地上にある。



両古墳の発掘の結果、倭人離れした風貌とスタイルをした人物埴輪など全国でも稀な形象埴輪の行列がほぼ完全な状態で出土し一躍有名になった。

早稲田大学がこれらの埴輪の3次元計測測定を行い報告書を出している。



これらの埴輪を見ると、とんがり帽子に三角のあごひげ、細面の顔などまるで西洋の魔法使いのようである。このような帽子をかぶっている埴輪は、ほかで見た記憶がない。
この古墳の被葬者や関係者の出自は一体いかなるところであったのだろうか?


◎殿塚古墳



前方後円墳 全長88.9m、後円部直径57.4m、前方部幅56.0m・高さ13m
2段築成 下1段対上一段の高さの比率は2:3

 


後円部

 

長方形の二重の周溝を持ち内溝(深さ1.6m)・中堤(幅3.5m)、外溝(深さ1.0m)がある

テラス面の幅は2.2m

真横から見たところ(左側が後円部

 


前方部

埋葬施設は後円部にあり、ひどく盗掘を受け大きな地滑りがあるためトレンチによる検出では単室構造の石室で墓道があった可能性がある。

◎姫塚古墳(特異な風貌の埴輪の行列が墳丘を囲んで配置されていた)


発見された形象埴輪の完全な行列

 

前方後円墳 全長59.3m、後円部直径35.0m、前方部幅36.4m・高さ6m


2段築成 下1段対上一段の高さの比率は1:4
テラス面の幅は3.5m
長方形の二重の周溝を持ち内溝(深さ不明)・中堤(幅5.0m)、外溝(深さ1不明)が
ある

殿塚古墳の2/3の規模

埋葬施設は前方部南側面テラスの下側 複室構造の横穴式石室で、砂岩の板と粘土で造られた墓道(幅1m・長さ3m)が発見されている。


◎中台3号墳



殿塚と姫塚に挟まれた場所に立地
長径22m、短径18m・高さ2.85mで墳頂にGPR探査で箱式石棺と思しき反応あり。



築造時期は6世紀末から7世紀の初頭で殿塚古墳、中台3号墳、姫塚古墳の順と考えられる。

この特異な埴輪は、「芝山ミューゼアム」「芝山町立古墳・はにわ博物館」で見ることができる。



引用・参考/現地案内板、「殿塚・姫塚古墳の研究」(六一書房・城倉正祥編)、「芝山町立古墳・はにわ博物館」