(107)福岡県筑紫野市 五郎山古墳(円墳・直径32m・高さ7m)


五郎山古墳は、円墳で直径32m・高さ7mの2段築成。

 


1段目までは元の丘陵を削って形を整え(地山整形)2段目からは土を薄く突き固めて重ねていく(版築)方法で築かれている。

2段目との境には幅1.5m~2.3mのテラス(平坦面)がめぐっている。これは斜面が崩れないようにするため。

 



また古墳は幅2m深さ0.3mの浅い周溝で囲まれている。


葺石や埴輪は、確認されていないようだ。


埋葬施設は全長11m、玄室が前後の2室からなる複室式の横穴式石室で、南西に開口

玄室の後室は幅3m、奥行4.5m、高さ4mで壁面には装飾がある。

 


 

壁画は、馬にまたがった人や祈りをささげる人、弓を引く者などの人物画、被葬者の冥福を祈るための鳥・船、魂を守護したといわれる靫・弓など赤・黒・緑の三色を使って描かれている。

 

これらから「被葬者の生前の様子」あるいは「黄泉の世界」、「一種の葬送儀礼を表した」などの説がある

こうした古墳壁画は他に類例は少なく、非常に貴重であることから国の史跡を受けている。

なお石室は盗掘を受けていたが副葬品として金環、管玉、勾玉、刀子、須恵器が採集されている。



 

築造はAC550年ごろ以降(6世紀中ごろ~後半・古墳時代後期)

 




壁画は五郎山古墳館(福岡県筑紫野市原田3-9-5)で見ることができる。
開館時間は9時から17時まで、休館は月曜日(祝日の場合は開館、翌平日休館)、入館料は無料。

 




引用/現地案内板・九州国立博物館HP「筑紫野市歴史博物館『筑紫野の指定文化財』より」