先日は、USMLE STEP2 CKについて書いたので、今日はCS (clinical skills)について書いてみたいと思います。
※USMLE = アメリカ医師国家試験
CSは、他の医師国家試験と比べて異色の存在です。なぜかというと、CSは実技試験であり準備の方法、採点基準等も、当然全く違うからです。
医学生は1年生の頃からの地道なOSCE (客観的臨床能力試験)と実習の積み重ねを披露することになります。
そして、CSはpass or fail、つまり合格か不合格です。
簡単にCSの特徴/流れを下記にまとめてみました。
・診察 (15分)
・ノート作成 (10分)
・30分休憩+10分休憩
30分休憩は6番目の患者さんの後、10分休憩は9番目の患者さんの後に与えられます。
1日で診る患者数は12人で、1日かけての長いテストとなります。
診察室に入る前から、テストは始まっています。
待機中の立ち振る舞い等、プロフェッショナリズムを持っているかをしっかりと採点されます。
診察室に入った瞬間から、アイコンタクト、仕草など事細かに採点されていきますが、一番大切なのは一人一人の患者様に真摯に向き合う姿勢を持つことができるか、だと思います。
学生は2つのカメラで観察され、患者役の役者(役者学校又は現役の役者)、カメラの向こう側の医師、そしてノートを採点する別の医師の3人によって採点されます。
採点基準は大まかに分けて、
・Spoken English Proficiency (SEP)
・Communication and Interpersonal Skills (CIS)
・Integrated Clinical Encounter (ICE)
この3つです。
1つずつ簡単に見ていきましょう。
Spoken English Proficiency (SEP):
文字通り、英語がどれだけペラペラか、ということをテストされます。この採点基準が存在する最大の理由は、近年のアメリカの医学部でない国外の医学部を卒業した医師の増加があります。
特にアメリカでは、各国から非常に優秀な医師が集まります。
それ自体は素晴らしい事なのですが、結果として現場に英語が殆ど話せない医師が増えてしまっている現実があります。
そういったわけで、基礎的な英語力を持っているかどうか、ここでまず篩に掛けられます。
自分自身も当時留学生だったので、非常に不安でした。しかし下馬評で、SEPは問題ないと聞いていましたが、その通りでした。
この採点基準は本当に英語を話せない人をスクリーニングするためであって、最低限のコミュニケーションが取れればパスすることは全く問題ないようです。
対策は当然これといってなく、勉強外でも友達を作り、常に英語を話す毎日を送ることくらいでしょうか。
Communication and Interpersonal Skills (CIS):
これもまた読んで文字の通り、コミュニケーション能力と対人関係を医師として持てるか、を採点されます。
15分で人間性を評価されても困る、という声も聞こえたりしますが、 第一印象は我々の仕事で非常に大切です。
そして現実の世界では、その時間で患者様は我々を信頼するかどうかを決めます。
テストのために偽の自分で患者様と向き合いなさいと言っているのでは全くなく、医学生は日々真摯に患者様と向き合って欲しい、それが自分からのメッセージです。
対人関係を築くスキルとコミュニケーション能力は、1週間や1ヶ月で備わるものではありません。
1日1日の自分の生活がそこに現れます。
ある先生は、医学部に入る前に人間性を磨く努力をしてから医学部を受験しなさい、と言っていました。
自分もその通りだと思います。
医師は、医学的知識とアルゴリズムを使って診断また治療をするマシーンでしょうか?
もしそうであるならば、10年落ちの中古のコンピュータの方が断然優秀だと思います。
医師は、人間であり 患者もまた人間である
これを忘れては、本当の医師にはなれません。
些細なように見える上記のこともまたCSの採点基準に入っています。
しかし、ここでテストが不合格になる学生も全体の1%以下と非常に低い数字となっています。
自分が学生の頃、同級生と触れ合っていてどの友達も素晴らしい人間で非常に驚きました。
殆どの医学生は問題ないでしょう。なので、この採点基準もまたスクリーニングなのだと思います。
Integrated Clinical Encounter (ICE):
ICEでは下記が採点基準となります。
・臨床能力
・適切な質問をする能力
・適切な身体検査を選ぶ能力
・診察/身体検査から適切な診断を下す
・患者教育
・カウンセリング
・上記を元にしたカルテ作成
見てもわかるように、一番不合格の可能性が高いのは、ICEで間違いないでしょう。
15分という限られた時間で適切な質問を行いながら身体検査を行い、診断を下し、その診断結果からオーダーをしたり、時にはERに行くようにアドバイスしたり、処方する薬について説明したりしなくてはなりません。
また診察室を出たらすぐにコンピューターでカルテ作成を完成させます。与えられた時間は10分なので、もたもたすることはできません。
また患者役の役者さんたちも、さすが本物の役者なだけあり、非常に難しいタイプの患者役に(話の途中で怒鳴ったり、泣いたり)徹したりするので、一筋縄にはいきません。
非常に幅広い医学的知識を要求され、且つ分かりやすく医療用語を使わずに説明する力をみられます。
色々な参考書がこの対策の為に出ていますが、やはり今までの勉強の積み重ねと日々の実習での体験が何よりの教科書でしょう。
このようにして、STEP2 CSで医学生として受ける国家試験は終わりです。
残るSTEP3は研修医中に(1年または2年時)受験するので、しばらく国家試験からは解放されます。
殆どの医学生がこのSTEP2 CSを4年生初期にとる事を考えると、残りの4年生の時間を学生はどのように過ごすのでしょうか?
次回は医学部4年生編を書いてみようと思います。
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