前回と前々回はマッチングとは何か、またマッチングプロセスとはどんなものか、について書いてきました。


今回は、そのマッチングプロセスのパート3、ランクオーダーリスト(rank order list)作成について詳しく書いていきたいと思います。


まずは、マッチングリストとはどんなものかについて手短に。


ランクオーダーリストとは、自分が面接した病院の中で、希望就職先を順番にランキングしたリストのことで、ERAS(Electric Residency Application System)上で作成します。


10月末から1月末までの、厳しい面接期間を乗り越え、2月にランクオーダーリストを提出します。


当然ながら、面接していない病院はランクに入れることはできないので(厳密にはできますが、そこにマッチすることはほぼない)面接を何件手に入れることができたかが非常に重要になってきます。


病院の種類としても

・大学病院(academics)

・公立病院(public/county)

・私立病院(private: Kaiser PermanenteCedars sinaiなどが例です)

などがあり、それぞれ特性が違いまた甲乙もあるので、医学生は頭を悩めます。


前回記したように、非常に競争率が高い科でも12病院以上(つまり12病院との面接)のランキングが作成できれば、マッチ率は一気に上がります。


ここで1つ気になるのが、受け入れ先の病院もランキングリストを作成すると言うことです。


つまり、もしポジションが6つあるのであれば、受け入れたい6人を病院側もランキングします。


もし、学生側のランキングとマッチすれば、晴れてマッチングとなります。


もう少しわかりやすく、いくつか例を出してみましょう。


:

シチュエーション1-Kさんの場合-

ER希望

ERのみにアプライ中

・面接は計13カ所

13病院全てランク

・第一志望はA大学病院

A大学病院にERのスポットは9つあるとする


もし、KさんがA大学病院ランキング上で1番にし、またA大学病院がKさんの事を9人のうちの1人にランキングすれば、晴れてKさんとA大学病院はマッチしたことになり、カップル成立となります。



シチュエーション2: Tさんの場合

ER希望

ERのみにアプライ中

・面接は計13カ所

13病院全てランク

・第一志望はA大学病院


TさんはA大学病院を一位に指名しました。しかし、A大学病院はTさんを初めの9人にはランキングせずに12番目にランキングしました。


この場合、A大学病院が最初に指名した定員9名を割ったとします。そうすると、割った人数分だけ下のランキングに移行します。


TさんはA大学病院からは12番目の指名でしたが、結局定員割れのため12番目のTさんまで順番が回って来ることがあります。この場合も晴れて、TさんはA大学病院とマッチングということになります。


マッチングの事実だけを学生側は知らされます。つまり、自分が何番目にランクされていたのかは知ることはありません。




単純なように見えますが、各学生が数十のプログラムにアプライをして各々ランキングを作成します。


更に、滑り止めを考えるものは、いつくかの違う科を同じリストにランキングすることもあります。


そこに病院側のランキングも加わるわけです。


非常に複雑なこのマッチングプロセスは、コンピュータによるアルゴリズムによって行われます。


難しいことは全てコンピュータがやってくれるわけですが、それでも各学生、これからの一生がかかって来るので非常に頭を悩ませます。









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