自分にとって、精神科の実習は3年生最後の実習でした。(スケジュールは人によって違います)


精神科の実習は主に下記のように構成されています。


・入院患者 3週間

・精神科救急医療 1週間

・薬物依存 1週間

・虐待等の被害者の会 1週間


最後の週に、OSCEと全国模試もあり、やはり非常に慌ただしく進んでいきました。


精神科の実習時(3年生の終わりの実習中なら何でも)に一番辛かった事は、精神科の勉強とUSMLE STEP2 の為の勉強を両立する事でした。


一般的にUSMLE STEP2は、STEP1を取り終わったらいつでも受けていいのですが、4年生になってすぐに受ける学生が多く自分もその1人でした。


そう言ったわけで、精神科の実習は比較的楽と思われがちですが、やはり忙しく慌ただしく過ぎていきました。



さて、精神科というのはとても特殊な科と思います。何故かというと、教科書で習う事を現実の世界で適応しようと思っても、全く上手くいかないからです。


例えば、躁鬱の診断。


テストの問題は簡単です。クライテリアを覚えて、当てはまってるかどうか確認できたら診断できます。


しかし、現実の世界ではそうはいきません。


生身の人間は、複雑に感情、思考、精神が絡み合い、それはまた刻々変化していきます。


また、精神科の薬はどれも、強い副作用がある場合が多く、適当な診断は絶対に許されません(どの科でもそうですが)



そんな非常に高い知識と判断力を求められる精神科の先生方は、どの先生も素晴らしい方々でした。




小児精神科で実習をしていた時に、とても大切な経験をしました。


医学生としての、精神科実習での大きな仕事の1つにintakeというものがあります。


Intakeとは、いわゆる患者様のヒストリーを詳しく取る事なのですが、それに加えて患者様の家族又は知り合い(当然患者様が精神疾患を持って病院にいることを把握している人)からも詳しく情報集めをする事をいいます。


これは、僕が9歳くらいの男の子のintakeをしていた時のことです。


この日のintakeは中々うまく進みませんでした。


どうやら、激しいいじめに遭われたみたいで、完全に塞ぎ込んでしまっていて、心を開いてくれません。



そんな時に小児精神科医の先生が助けに来てくださいました。


ヤッホー!


先生はずっこけてしまうくらいとても軽く部屋に入ってきました。


更に先生の格好を見てみると、室内でサングラスをしていて、しかもサングラスの上にはミッキーが2匹。


いつもはとても真面目な先生なので、面食らってしまいました。


あけた口が塞がらない自分の横を通り過ぎて、先生は彼の横に座りました。


パズドラする?俺めっちゃ弱いんだよね!(もちろん英語で)


最初は完全に塞ぎ込んでいた彼がみるみるうちに心を先生に開いていきました。


当然精神科としての診断で重要な質問を絶妙に盛り込みながら。



こうして先生は彼とすっかり「友達」になってしまい、彼も先生とだけなら話すと言っていました。



患者様の心と繋がる事が出来なければ、今まで自分が机の上で学んできた事は、何一つ役に立たない事を思い知らされた瞬間でした。



精神科の先生は、少し変わった人が多い、そんな言葉もよく耳にしますが、自分は彼らこそ真のプロフェッショナルな医者だと思います。



今回で、3年生実習編は終わりです。明日からはUSMLE STEP2、そして4年生実習編について書いていきたいと思います。







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