欲望に負けた女ですが、カイラス巡礼1日目を振り返ります。 | 世界を旅するラブレター

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「アラサー・独身・彼氏ナシ」現代女性の三重苦を背負ったバックパッカーが、さらに「住所不定・休職」をステータスに加え、世界一周に旅立ちます。

タシデレ!(こんにちは)

 

前回「インターネットがプリペイド従量課金だから、AV見るのガマンしてる」

と書いたのに、欲望と好奇心に負けて動画を見た結果、

チャージしてた1.5GB分が瞬殺されてしまったミギー(ガチで瞬殺された)です。

 

「ちょっとだけ、ちょっとだけならだいじょうぶでしょ」と

AV動画リンク集のサイトに足を突っ込んだのも束の間。

(ほかのものは突っ込んでない)

 

「先っちょだけ、先っちょだけだから」という男のセリフを

迂闊に信じてしまったときのように

「ちょっとだけ」のはずが、あれよあれよという間にズブズブになり

次々動画を再生しはじめ、無限AVループに取り込まれた31歳、独身オンナの冬。

 

 

数十分後、賢者となって我を取り戻したものの、

時すでに遅し。

 

残されたチャージ分はわずか0.98MBだけだった…。

 

ウソだ!

さっきまで1GBくらい残ってたハズだぁぁあああ!!

 

と、MacBook Airさんに叫んだものの、数字は変わらず。

 

 

冷静を装い

「と…とにかく、今日予約しなきゃいけない航空券を手配しなくては…」と

予約サイトに行き

フライトを選択し

搭乗者情報を入力し

最後にクレジットカード情報を入力して

「購入」ボタンをクリックしたとき…

 

 

「インターネットに接続できません」

 

 

チャージ分、尽きたあっぁぁぁあああああ!!!!!

 

 

…うん。

 

自分が悪いってわかってます。

 

 

ひさしぶりに、けっこうガチで落ち込みました。

 

1000Ksh(約1200円)払って、1.5GBチャージしたら

12月15日のケニア出国まで余裕で足りるハズだったんです。

 

 

というわけで、また1000Ksh分チャージしてきました。

今度こそ、足りるハズです。

 

もうケニア出るまで

AV見ません。

ダメ、ゼッタイ。

 

 

 

はい。

 

 

 

話はチベットを旅してたときに戻りまして…

 

10月18日。

 

コルラ出発の街、標高4675mのタルチェンで迎えた朝。

 

カイラス山の周囲52キロをぐるっと一周徒歩でまわる巡礼=コルラをするには

事前に中国政府発行の許可証が必要なんですが、

わたしたちは許可証がとれませんでした。

 

でも、カイラス・コルラはわたしの夢。

 

ここまで来て、どうしても諦めきれない。

 

 

わたしがこの巡礼にこだわるのには、理由がありました。

 

インドのゴアで出会い、今年いっしょに北インドを旅した親友ケルサン。

彼はインドのチベット難民地区で生まれた在印チベタン2世です。

 

わたしが「インドのあとはチベットに行こうと思ってる」と話したとき、

彼はこう言いました。

 

「祖母は病気で死にそうになったとき、最期をチベットで迎えたいと願った。

母とオレは、その願いを叶えてやりたかった。

 

だから中国に祖母がチベットに帰れるように訴えたんだ。

何度も何度も。

 

でも、無理だった。

 

祖母は二度とチベットの地を踏むことなく、死んでいったよ。

母もオレも、このままチベットに帰れることはないだろう。

 

だからオレたちの分まで、チベットを見てきてほしい」

 

 

ムスタン王国のロマンタンで出会った少年僧学校の校長ツェリン先生は

インドに生まれダラムサラで学び、ネパールのムスタンにやってきたチベタンです。

 

「わたしのようなチベット仏教の僧侶は、決してチベットには入れないんです。

中国政府が許さないんですよ。

 

あの山が見えますか? あの山を越えればそこはもうチベットです。

聖地カイラスも、とても近いのですが…わたしが行けることはないでしょう。

 

あなたがわたしたちの想いとともに

カイラスを巡礼してきてくれるとうれしいです。

どうか、お気をつけて」

 

 

チベット仏教圏を旅して、たくさんのチベタンと出会うことで

わたしのなかでチベットへの想いも少しずつ変わってきていました。

 

 

中国政府の許可証がないから何だ。

 

そんなことで諦めたくない。

 

なので、許可証ナシでのコルラ強行を決意。

 

 

もし公安に見つかったら

罰金&許可証を持ってるエリア、もしくは国外まで強制退去らしい。

 

 

ガイドのノルブも、許可証ナシでコルラさせているのがバレると非常にマズいので

我々には同行せず、宿で待機していてもらいます。

 

ガイドがいないと宿の場所や道のわかる人がいなくて大変だろう、ということで

ノルブは、チベタンのポーター(荷物を運んでくれる人)を手配してくれたうえ

ほかのグループのガイドに「この人たちをよろしく」と頼んでいてくれました。

 

ありがとう、ノルブ。

公安に見つからないよう、がんばるよ。

 

 

 

朝8時半。

 

ミサと、ポーターのモモくん(帽子が桃色なのでモモ)と

コルラ開始。

 

コルラ起点の街なのに、開発が進みすぎて

チベットっぽさが薄くなっているタルチェンをあとにします。

 

街を少し出ると、ずっと先まで何にもない。

 

モモくんはチベタンなので、歩くのが早い。

 

チベットは標高3000m以上の場所ばかりなので、

チベタンたちは生まれてからずっと高地暮らし。

 

なので、彼らは高山病にはかからないんです。

 

7000m以上の場所を歩いていても「息が苦しい」「頭が痛い」とかはなく

単純に「寒いだけ」なんだって。体質ってふしぎ。

 

そんなチベタンたちは、この標高4675~5660mのカイラス・コルラも

1日あれば、なんなく1周できるそう。

 

 

とはいえ、われわれ日本人は低地育ちなので

コルラするには通常3日間かかります(急げば2日)。

 

ムリして早く歩いたり登ったりすると高山病になりやすいので

ゆっくり自分のペースで歩くことがたいせつです。

 

ザンスカール・トレックでムリして高山病になったわたしが言うんだから間違いないです。

 

 

マニ車をくるくるまわして、さあ、先へ。

 

願いごとをしながらコルラすると、それが叶うという言い伝えもあったりします。

 

昨年コルラしたロシア人の友だちは

「人生をともに歩めるパートナーと出会いたい、と願ったら…

本当に引き合わせてもらえたの! だから、あなたにもおすすめよ」

と、教えてくれました。

 

 

わたしが何を願いながら歩いたかは…

 

いまは恥ずかしいので、ひみつにしておきます。

 

 

最初の休憩はこの場所で。

 

「いまコルラしてるんだー!」という気分の高揚のせいか、

まったくシンドさを感じず、どんどん歩けます。

 

つい数日前まで、日本で仕事をしていた会社員ミサ(有給休暇中・写真右)は

「信じられないくらいシンドイ…」と言っていたので、

もしかしたら、この楽々歩ける原因は、チベット行く直前まで

同じく高所にあるムスタン王国を歩き回ってたおかげかもしれないんすけど。

 

巡礼者は、自分が巡礼した証として

髪の毛や衣類を置いていきます。

 

 

 

タルボチェに到着。

右側に、真っ白なカイラスが見えます。

 

 

出発してから約3時間。

チュク・ゴンパが見えてきました。

山の斜面に張り付くようにして建っています。


 

ゴンパのふもとで、お昼ごはん。

同じくカイラス・コルラ中のおばあさんたちも休憩中。

左から二番目が、ポーターのモモくんです。

 

少しおなかにあたたかいものを入れただけで

すごく元気になるのを感じます。

 

この広大な道をひたすら、ただひたすら歩く。

 

チベットに来たんだなー。

 

カイラスの西面が見えてきました。

 

「鞍石」と書いてある岩があるので、なんだろう?と思っていたら

モモくんが「これで腰をのばすといいんだよ」と言うのでミサにやってもらいました。

 

うん、たしかにのびて気持ち良さそう。

(あとから聞いた話だと、本当はこういう用途ではないらしい)

 

 

カイラス西面を拝みながら、てくてく。

 

ミラレパのありがたい足跡があるスポットで休憩。標高こんくらい。

 

ミラレパというのは、チベット仏教カギュ派を代表する聖者で

いまでも人気がある伝説の詩人。

 

空を飛んだり、岩を持ち上げたり、洞窟をくり抜いたりと

かなりの超能力を発揮したというミラレパ。

 

そんな彼の足跡がコレ。

 

わたしの足と比べてみると、どんだけ大きいかがわかります。

 

足のサイズは26cmなので、決して小さいほうではないんですが。

(というより、女のわりにデカい)

 

ミラレパすごいな。

 

 

そのあとも心のなかで願いごとを繰り返しながら歩くこと数時間。

 

ディラ・プク・ゴンパが見えてきました。

 

今日の宿はこのゴンパの川向かいなので、

いったん荷物を置いてゴンパへ向かいます。

 

橋がかなり遠い場所にしかないので

川から顔を出している石を飛び越えて向こう岸へ。

 

わたしはこれまでの山歩きで鍛えられていたのでヒョイヒョイ行けたものの、

ミサ嬢は苦戦。そりゃキレイなお姉さんは川渡りなんて経験ないもんな…。

 

がんばれー。うしろからカイラスも見守っているぞ。

 

 

奥に見える茶色の建物がメインのお堂です。

 

拝観させてもらえるかわからなかったので、

そろそろとゴンパの敷地内へ。

 

お堂の鍵は閉まっていました。

 

うーん。

来るのが遅かったんだろうか。

しかも誰もいない。

 

チベットに来てから、実はひとつもゴンパに行けていなかったんです。

時間が足りなかったからではなく、我々のルート上にあったゴンパは

ひとつ拝観するにも、中国政府の許可証が必要だからです。

 

 

いまとなっては、いろんなことを覚悟のうえで

許可証ナシのコルラを強行している身。

 

カイラス巡礼路にあるゴンパ。

しかも11世紀に建てられた歴史あるゴンパ。

ぜひとも拝観したい!

 

と思って、しぶとくウロウロしながら待っていると

プージャを終えたらしきお坊さんが出てきました。

 

「お堂のなかに入らせてもらえないでしょうか」と

メモしてきたチベット語をたどたどしく読み上げると

彼はふんわりと微笑んで「いいですよ」と、鍵を開けてくださいました。

 

 

お堂のなかは

おどろくほどあたたかく

やわらかい光で包まれていて

なつかしいきもちがわき上がります。

 

壁面に描かれた仏画の鮮やかさ、

飾られているタンカの緻密さ、

ろうそくのゆらぎに輝く仏像の数々。

 

そこにいるあいだ、

わたしには不安も恐れもありませんでした。

 

自分が許されていくような

えも言われぬ感覚。

 

荘厳さとやさしさが同居している、すばらしいゴンパでした。

 

 

拝観を終えて、宿へ。

今日の移動時間は約7時間。

 

さすがにちょっと疲れました。

 

宿はプレハブ小屋にベッドを置いただけの質素なつくりですが

窓からカイラス北面が望めるすばらしい場所にあります。

 

日が傾いてきました。

 

夕陽とともに、カイラスの表情も変わっていきます。

 

ちなみに、もうすでに小川が凍るくらいの寒さです。

 

最初は宿のすぐそばで、お湯を注いだカップで手をあたためながら

ただ静かにカイラスを眺めていたんですが

なんだか急に、もっと近くでカイラスを感じたい衝動にかられ

疲れているカラダなんてお構いなしに

いつのまにか斜面を駆け上がっていました。

 

この様子を部屋で休みながら見ていたミサは

「おぉ!マジか、行くのか!」と思ったそう。

 

 

夕陽が沈む間際、全力で駆け上がり

汗をかき、息を切らし

圧倒されながら拝んだカイラス。

 

「天空の曼荼羅」

 

そう呼ばれ続ける、聖なる山。

 

 

すべてがギリギリで撮った写真がこれ。

 

いつのまにか目から汁が出て、止まりませんでした。

 

 

I’m still alive , and i love u.

 

 

読んでくださりトゥジェチェ!(ありがとう)


次回は、コルラ2日目

我が人生最高の高所5660mの峠越え、をお届けする予定。

 

 

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カイラスのことを思い出すと、いまでもリアルに感極まるんですが

冒頭で「AV見てネットのチャージ分がふっとんだ話」をしてしまったことで

この感動がみなさんに伝わってるか若干不安になってきているミギーに

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