下ネタが言えないレベルの峠越え。 | 世界を旅するラブレター

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「アラサー・独身・彼氏ナシ」現代女性の三重苦を背負ったバックパッカーが、さらに「住所不定・休職」をステータスに加え、世界一周に旅立ちます。

カムザン・イナレ!(お元気ですか?)

 

リアルタイムの9月18日現在、

悪い虫にヤラれまくってデリーまで戻ってきてた

ミギー(こういうときこそ栄養つけなきゃ!と言い訳して大食い中)です。

 

病院にも行けたので、きっとこれで大丈夫でしょう。

診察結果はベッドバグじゃなくて「scabies」って言われたけど。

 

※ scabies:

疥癬(かいせん)。

ヒセンダニが寄生する皮膚感染症。

なにこれ、こわい。

 

だいじょうぶです、だいじょうぶ。

 

--------【リアルタイムここまで】--------

 

はいよ!

というわけで、冒険六日目に話を戻しまして。

 

五日間4000メートルオーバーの高地を歩き回り、

ついに5090メートルの峠を越える日がやってまいりました。

 

昨夜は夕方から雨に降られましたが、朝起きると雨は止んでて一安心。

 

このベースキャンプ、屋根がビニールシートだから

夜のあいだ雨の音がすごい音量で聞こえてたんですよ。

壁は石を積み上げただけだから、すきま風もピューピューですし。

 

我々以外にも、ザンスカール最後の村・カルギャクの親戚を訪ねてたという

マナリ在住の家族が近くに陣営してました。

屋根が青いビニールシートなのが、彼らのテント。

 

体調は万全ではないけれど、

4500メートル付近で休んでいても回復するもんじゃなさそうだし、

だからといって、5日かけてスタート地点のパドゥムに戻るってのはないし。

 

いま、わたしに残された選択肢は「前に進む」だけ。

 

いろいろと雲行きが怪しいけれど、行くしかない。

行こう。

 

 

平坦な道は問題なく歩けるのですが、

登りになると、数歩で息があがってどんどんカラダが重くなっていきます。

 

ずっと登っては、下り、またずっと登っては、下って。

 

この登りが終われば、きっと峠の先が見える!

と自分を励ましながら登っていくも

登った先の景色は、また別の上り道が現れるだけ。

 

同じ時間に出た家族たちは、

それらを平気な顔でヒョイヒョイ越えていきます。

 

ガイドのスタンジンも「休みながら、ゆっくりでいいからね」と言い残し

彼らと同じペースで、馬とともにスタスタと前へ。

  

置いていかれたカタチではありましたが

ひとりで登ることになって助かったのは、

顔をつくらないでよくなったこと。

 

正直、本気でしんどかったんで

他人に見せられないレベルに苦痛と苦悩に満ちた、

般若のような顔になってました。

それをスタンジンたちに見られずにすんでよかったなーと。

 

 

いつまで続くんだ…とゼイゼイしながら

自分の心身ひっぱたいて前に進もうとするも

数歩登ると息が苦しくて足が前に出ない。

 

ちょっと進んでは立ち止まり、

またちょっと進んでは足が止まり。

 

デカい石がゴロゴロした道を注意深く進むも、

たまに足をぶつけたり、よろけてしまったり。

 

「なんでこんなシンドイことやってるんだ」とか

「無様すぎてバカみたい」とか

「自分のカラダなんだから、もうちょっと言うこと聞けよ」とか

そんなことばかりが頭に浮かび。

 

ザンスカールの壮大な景色と、

自分の不甲斐なさのコントラストがビッシビシにツラかった。

 

自分の足でザンスカールを越えていくと決めたのに、

チカラも覚悟も足りてなかった。

 

それでも、歩を進められたのは

いつも気遣ってくれるスタンジンをはじめ、

この旅路で出会ったザンスカールのみんなの愛情があったからだと思うんす。

 

 

自分と格闘すること、数時間。

 

峠に到着。

 

前に出発した家族が、スタンジンといっしょに待っててくれて、

そのうえ軽食の団子までわけてくれました。

 

食欲なかったけど、あの手作り団子はやさしい味でおいしかったなー。

パサパサだったから、口のなかの水分全部もっていかれたけど。

 

 

シンゴ・ラ(シンゴ峠)には、たくさんのタルチョやカタが。

なぜなら、ここは神が宿る神聖な場所とされているから。

 

絶え間なく吹き続ける風になびく様子が、

とても、うつくしくて、荘厳で。

いつまでもココにいたいくらいだった。

 

タルチョ:

経がかかれた旗が風になびくと、その風にのって仏の教えが世に広まるというもの。

青が天、緑が水、白が風、赤が火、黄が地をそれぞれ表しています。

 

カタ:

祈りに使う布。

祝福するときには相手の首に、このカタをかけてあげます。

 

 

「ココのカタ、ほしい?」とスタンジン。

そりゃ、いただけるならほしいですよ。

え?もらえるの?

 

彼に教わったとおり、御礼としてチョコレートをお供えして

カタを一枚いただいてきました。

 

「神の息(ゴッドブレス)が吹き続けるシンゴ・ラのカタは、

 神から祝福されている特別なものなんだよ」とのこと。

 

そうか、ならばぜひとも恋愛・結婚運あたりを中心に御利益をお願いします!

地面に額をこすりつける勢いでお願いします!

なにとぞ!

そろそろ、ここいらで一発!

 

…こういう欲深いところを、

なにより先に改める必要があるのかもしれません。

 

高所の日差し・乾燥から肌を守るため完全武装のガイド、スタンジンと

わたしの荷物を背負いつつ、おならを連発しつつ歩く馬。

 

このおならの多い馬のことは、

勝手に「ウマー」という名前をつけて呼んでました。

 

 

もっと峠を満喫したかったのですが、

なんと雨が降り出したではありませんか。

 

急いで荷物をまとめて、先に進みます。

峠を越えてからは、だいたい下りなのでサクサク。

 

シンゴ・ラ近くの小さな湖。こっから先は本降りに。

 

ただでさえ寒いのに

雨が降ると、さらに寒いのなんの。

 

スタンジンと「寒い!寒い!」と鼻水たらしながら、

さらに数時間歩き、今日の陣営場所チュミナポへ到着。

 

もちろん、昨日と同じようなビニールシート・テントです。

昨日より石壁からのすきま風がすごい気がするけど。

 

 

遅めの昼食は、インスタント麺メギ。

六日連続同じメニュー。

 

メギのにおいを嗅いだだけで、出しちゃいけない何かが

喉の奥までこみ上げてくるレベルです。

 

どんなに好きなものでも、過剰になると

嫌いになってしまうもの。

 

以前、なか卯の親子丼にハマって、毎日一食以上、必ず食べていたのですが

7日目で「きもちわるい…」とカラダが拒否反応を起こし、

それ以来、なか卯の親子丼の登板は

きわめて稀になってしまいました。

 

好きだからといって、そればっかりになっちゃいけない。

という、人生の学びを得たのです。

なか卯の親子丼から。

 

 

雨が降りしきるなか

生後まもない赤ちゃんを抱えた夫婦がテントにやってきました。

彼らは我々と逆方向で、明日峠を越えてザンスカールへ行くそう。

 

夕飯は、ジャガイモスープかけごはん。

ラーメンライス並の炭水化物×炭水化物で、おなかを満たして就寝。

 

 

そして、翌朝。

 

トレッキングを継続できなくなる事件が起こるのであった。

 

次回に続く。

 

 

読んでくださりジュレー、ヤン・ジャリンレ!(ありがとう、またね)

 

 

I’m still alive , and i love u.

 

 

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