12月9日日曜日、
昨日夫がとうとう荷物をまとめて出て行った。
私たちが出会ったから7年と1ヶ月の日々を過ごしたアパートを後にして。

ギデオンとのことを書き進める前に、
夫のことを少し書いておきたい。

夫と私が出会ったのは7年前で、
彼が25歳で私が29歳の時だった。

情熱的に恋をした訳ではなかった。
けれども日々愛を育んだ。

最初の一日目から関係はほんの少しずつ作られて
私たちはお互いに成長し、
相手を無くてはならないものにして行った。

私たちが結婚したのは2010年の6月5日。
たったの2年と数ヶ月で終わりを向かえる結婚生活だって
誰が想像しただろう。

私たちの結婚式は自分で言うのもなんだけれど
素晴らしいものだったと思う。
規模が大きいとか人がいっぱい来たとかそういうことではなくて
小さな手作りの温かい結婚式だった。

私はあの日のことを一生忘れないだろうと思う。
お天気のいい暑い日で私たちは汗をかきながら
涙にぬれたぐしゃぐしゃの顔でお互いへの手紙を読んだのだった。

あれはピカルディーとノルマンディー地方の間にある
小さなシャトーで行われたささやかな結婚式だった。

私の中での夫のイメージはまさに白馬に乗った王子様だった。
貴族の出とかそういうことではなく
彼は文句無く育ちのいい男の人だった。

礼儀正しく、まっすぐで、背は高く、ハンサムで、
家族を深く愛して大事にしていて
おまけに小顔で筋肉質で肩幅が広く
逆三角形のシルエットの持ち主で。

はっきり言って言うことなしだ。

エンジニアの彼はラデフォンスに毎日フランス人には珍しく
スーツで通っていた。

シャツには毎朝自分でアイロンをかけて、
まだベッドの中で眠っている私のおでこに静かにキスをして
出かけて行った。

私のアーティスト活動やキューレター活動も凄く応援してくれていた。

私が初めてフランスで正社員で働き始めることができたのだって、
複雑な家族関係や生い立ちの私を支えてくれた彼がいたからだと思う。

押し付けがましくなく、私をガイドするでも無く
でもひっそりと、それでいて確実にしっかりと
私を常に支えてくれていた。

そんな私が想像もつかないパーフェクト以上の彼を
かけがえの無い夫を忘れてまでこんな恋に落ちるなんて。

パーフェクトとはほど遠いギデオンと恋に落ちるなんて。

神様は私に何を望んでいるのだろう。
人生は本当に自分が想像不可能な所へ
自分を運んで行ってしまう。