虚夢 / 薬丸岳

愛娘を奪い去った通り魔事件の犯人は「心神喪失」で罪に問われなかった。

運命を大きく狂わされた夫婦はついに離婚するが、事件から4年後、

元妻が街で偶然すれ違ったのは、忘れもしない「あの男」だった。

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初読み作家さんです。

とても読みやすく一気読みしてしまいました。

刑法三十九条、

1.心神喪失者の行為はこれを罰しない

2.心神耗弱者の行為はその刑を減刑する。

実際の事件でも近いケースはあるけれど自分が被害者だったら

怒り、憎しみ、悲しみのベクトルをどこに向ければいいのでしょう？

精神病を理由に人を殺しても刑務所に行くわけでもなく罪を問われることもなく

また簡単に社会に戻ってこれるなんて許すことができるのでしょうか。

こんなのおかしい。

そもそも人を殺す時点で病気を抱えていない人であっても精神的に

普通でないと思う。

何をもって心神喪失、心身耗弱というのか。

こういうテーマはなかなかすべての人が納得するような

すっきりとした答えがでないですね。読後はなんだか悶々と考えてしまいました。

最後に母、佐和子の強い思いが痛いほど分かりました。

母でない人もそうでない人もたくさんの人に読んでもらいたいです。