風紋 / 乃南アサ
ある善良な家族の上に降りかかった一つの殺人事件。被害者の遺族、
そして加害者の家族がその運命を狂わされていく様を、
多感な年頃の少女・真裕子を主人公にして描いた社会派問題作。(引用:Amazon)
ある日突然に母親が殺されてしまい被害者と加害者の家族の生活は一変してしまう。
何物かに殺された事実だけでも辛いのに、それをきっかけに今まで知らなかった、
知らなくてもよかった母の過去がどんどんと掘り起こされ、
被害者の家族なのに逃げるように引越しをしなければならなかったり非難をうけたり、
加害者の家族としての責任を押し付けられたりとページをめくるたびにどんどん気が重くなります。
私達が報道などで見聞きする事件。犯人が逮捕され裁判をし、刑が確定されれば
忘れられ風化していくけれど、被害者家族の心の傷は永遠に癒えることはない。
また加害者の家族もある意味被害者であって今までのような生活を送ることはできない。
どんな状況であっても残された人たちは生きていかなければならない現状に胸が詰まります。
そして文中には犯罪者の描写(心、言葉)は一切出てきません。
そこが少し物足らない部分であってなぜ殺さなければならなかったのか。
その動機が非常に気になって仕方が無かったので少し消化不良気味。
続きがあるようなのでまたの機会に。