異世界食堂1 犬塚惇平 | ちわ☆わんつーmemory 

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日々の忘れたくないこと

こんなおもしろく、笑える本は久々です

毎回ほとんどが異世界の住人が、自分のお気に入りの料理を注文して、うれしそうに食べるシーン
だけど、そこがいいんです。
異世界食堂 1 (ヒーロー文庫)/犬塚 惇平

内容紹介
オフィス街に程近い商店街の一角、犬の看板が目印の雑居ビルの地下一階にその店はある。
猫の絵が描かれた扉の食堂「洋食のねこや」。
創業五十年、オフィス街のサラリーマンの胃袋を満たし続けてきた。
洋食屋といいながら、洋食以外のメニューも豊富なことが特徴といえば特徴なごく普通の食堂だ。
しかし、「ある世界」の人たちにとっては、特別でオンリーワンな一軒に変わる。
「ねこや」には一つの秘密がある。
毎週土曜日の店休日、「ねこや」は“特別な客"で溢れ返るのだ。
チリンチリンと鈴の音を響かせやってくる、生まれも、育ちも、種族すらもばらばらの客たちが求めるのは、世にも珍しい不思議で美味しい料理。
いや、オフィス街の人なら見慣れた、食べ慣れた料理だ。
しかし、「土曜日の客たち」=「ある世界の人たち」にとっては見たことも聞いたこともない料理ばかり。
特別な絶品料理を出す、「ねこや」は、「ある世界」の人たちからこう呼ばれている。
―――――「異世界食堂」。
そして今週もまた、チリンチリンと鈴の音が響く。

目次
メンチカツ
テリヤキ
エビフライ
トーフステーキ
ビーフシチュー
ミートソース
オムライス
チョコレートパフェ
クリームコロッケ
お好み焼き
パウンドケーキ
ビフテキ
サンドイッチ
ホットケーキ
ポークジンジャー
カレーライス
プリンアラモード
ハンバーガー
コーヒーフロート
モーニング
特別編 豚の角煮

目次に並ぶのはほんとにレストラン等で食べられる普通の料理
でも、あちらの住人にとってはそれぞれ特別な料理

それぞれが、自分のもっとも好きな料理を注文するうちにいつの間にかそれが呼び名になって、
各章のほとんどの文章はその料理がその住人にはどのように写るか、どのようにおいしいか
なんだけど、目次の料理名を見るだけで、その章の主人公がどんな風貌、どんな生き方をし、この食堂にどのようにしてきているかまで思い浮かべることができる
そんな本

この食堂は先代の頃から1週間に1度、 店が休みの土曜日だけあちらの世界に通じます。
おじいさんから店を引き継いで約十年

今週も土曜日になると店主は一人であちらの世界の客たちの注文をさばきます。


それぞれにおかしいのですが、お好み焼きは特に二人の客の対抗心があらわ
ほとんどが山、武を尊ぶ国のソウエモンはぶたたま
海に面し海洋安全の旅が重要で、学問と陰陽術に力を入れる国のドウシュンの注文はしぃふぅど
なぜか二人は同じ時間に店を訪れ、同じテーブルにつき、お互いをけなしながらお好み焼きを食べる


「サンドイッチ」に至ってはそれぞれのお気に入りをサンドイッチにした時は自分のサンドイッチが一番おいしいともめ出して、若者をたしなめるために口を出した「テリヤキ」と呼ばれる高名な老剣士タツゴロウとこの店一番の古参、やはり高名な魔術師の「ロースカツ」が自説を曲げず、店中が我も我もと騒がしくなって、各自の説につい読んでいるこちらもサンドイッチが食べたくなった

各章、描かれている料理が食べたくなるほど、うまい表現で、実に楽しい本でした。

こんなファンタジーと料理の融合された作品
続くことがわかっているのは、楽しみが待ち遠しい