クチナシの花が咲き始めました。

 常緑低木に分類され、その芳しき香りは何んとも言えぬ甘く、糖分を欲する脳に心地よく届くような気が致します。

 雨上がりや真夜中に最も強く香りを放つと言われておりますから、この炎天下では花もぐったりと疲れてしまうかと思います。

 クチナシ…怪談話・耳無芳一(みみなしほういち)を思わせ、ちょっと不気味な名前に聞こえるかもしれません。

 名前の由来のひとつにクチナシは果実が熟しても裂開(れっかい)しない、口が開かない意味から「口無」と付けられたとの説が上げられております。

 果実は黄色い色素があるため、色付けのための染料として広く使われています。

 どことなく清楚な佇まいを思わせる花であります。

    

 本日は江東区民健康診断の予約が入っております。

 まさか…最高気温が37度になるなんて予想もしてませんでしたから、ちょっとビビッちゃっています。

 我が家から歩いて20分弱…健康診断に行くのに命がけでもあります。

 バスも中途半端、「良性発作頭位めまい症」の後遺症で今もフラフラしますので自転車は怖いので、けっきょく自分の足だけが頼りとなります。

 クリニックの受付を済ませたら汗がドッと出て来て大変!

 クリニックには冷たい給水機が設置されているので遠慮なくグビグビと頂きました。

「では最初に採尿からお願いします。みなさん、汗でお小水出ないようですが、大丈夫ですか?」

「いやぁ~まったく尿意はないんですけどね、ここは検査ですからね、何んとかします」

「…そちらのトイレでお願いします。トイレ内の小窓に提出してください」

 予約は午後12時30分で、それまでは水分の摂取は制限なしですが、食事はダメとの指示でしたから、少し膝がガクガク致します。

 これで血液を採られたり、心電図を図ったり、レントゲン検査、問診を受けたりと暑さでダメージを受けている身にとっては過酷な1時間でした。

 それでも途中で倒れることなく帰り着いたのですから、体は元々丈夫なのかもしれません。

    

 検査が終わったらすぐに食べられるようにと梅とゆかりの小さなおむすびをふたつ握って持って行きました。

 イースト21はオフィスビルでありますが、あちこちに椅子が置いてあるのでひと休みさせてもらって、おむすびを頬張りました。

 これで元気百倍!

 帰りにスーパーで買い物もできると言うもんです。

 帰るころは13時30分…1番温度が上がる時刻ではないでしょうか。

 これが37度の暑さなのか…?

 毛穴が開いてブチッと飛び出してくるようで、陽に当たっている皮膚がチリチリと痛く感じます。

 息も絶え絶えで戻って参りました。

 行き付けの八百屋のおぃちゃんが勧めてくれたイチジク…「こう見えても熟してるんだよ。千葉産の白イチジクなんだけど、甘いから試してみてよ」

 試しに頂いてみたら、これがホントに熟していて美味しい!

 ヘタの方から裂開した部分に向けて皮を剥きます。

 お臍のようにも見えます。

 体の隅々まで甘さがゆきわたって行き、生き返るような気が致します。

 さて…少し昼寝でもして体を休めるとしましょう。

 

『いちじくやにんげん誰にも腹に臍』

(いちじくやにんげんだれにもはらにへそ』

岡井省二(おかいしょうじ)