本日は二十四節気・第10番目となる「夏至」を迎えますが、生憎の雨となってしまいました。 

 わたくしたちが住む北半球では日没までの時間が1年で最も長いとされているのですが、雨雲に覆われた空では、それもはっきりとは致しませんでした。
 しかも近畿・東海・関東甲信は2週間遅れての、ようやくの梅雨入りとの発表も重なり、なんだかスッキリとしない夏至であります。

 こんな日は読書に限ります!

 図書館の予約本が思ったよりも早く順番が巡って来て、大喜び!

 池井戸潤・著『俺たちの箱根駅伝上・下巻』…今までは、このように上下巻に分かれていますと、前の人の返却の都合で「下巻」の方が早く手元に来ることがありましたが、今ではきちんと上下巻揃って渡されるシステムに変更され、わたくしたち利用者にとっては大変ありがたいことであります。

 下巻から読むなんてできませんからねぇ~コンピューターのおかげでスムーズに貸し出しが出来ております。

 さて…先ずは上巻・第一部「決戦前夜」から読んで参りましょう。

 この箱根駅伝は今まで駅伝を描いていた物語とは少々異なっておりまして、ひとつの大学の陸上部・駅伝メンバーを描いたものではありませんで、駅伝の本選に出場するための予選で落ちてしまった大学から寄せ集められた「関東学生連合チーム」の学生たちを描いた物語となっています。

 上巻・373ページ、ところが池井戸氏の筆力はとてもスピーディーでして、余計な背景や人物は出て参りません。

 本選と言っても「学生連合」は記録には一切残りません。

 区間賞を取ろうが優勝しようが「参加」しただけの扱いとされてしまいます。

 わたくしは東京農業大学の応援歌「青山ほとり・大根おどり」を見たさに農大を応援をしているのですが、ここ10年・東京農業大学としての本選出場は叶っておりません。

 16名選ばれる選手のひとり・農大の学生は必ず入っているので、選手を応援する気持ちに変わりはありません。

 その学生連合が箱根駅伝・往路の10区を走るまでを淡々とした筆致で展開していきます。

 読み始めたら…止まらない!

 夢中で上巻を読んでいたので、お昼が遅くなってしまいました。

 あれこれ作っているの時間も惜しい!

 クロワッサンにハムとを挟んでパクパク!

 下巻・331ページ、第二部「東京箱根間往復大学駅伝競走」…いよいよ大手町・讀賣新聞前からスタート!

 1区2区と走る選手の姿を目で追い、3区4区はちょっとウルウル。

 山登りとなる5区は本を読みながら拍手!

 復路の波乱にも涙が出て、途中で鼻をかむ始末であります。

 それぞれの区間を走る選手が背負う背景にもグッとくるものがありました。

 箱根駅伝を走った学生連合の選手は、その経験を各大学へ持ち帰り、他の選手へ伝え活かさなければなりません。

 どれだけ箱根の道が険しく、そして素晴らしいか…

 池井戸氏の作品にやはり陸上部を描いた作品「陸王」がありますが、こちらは選手が履くスニーカーが主体となった話で、今回もチラッとシューズのことが出て参ります。

 このあたりのチラリズムが実に上手いなぁ~と思います。

 白地に赤い文字の「学生連合」のタスキ…217、1キロを走りきった学連は何位でゴールしたでしょうか?

 もうラスト20パージは感動の連続で涙・涙でティッシュは山のようになってしまいました!

 目は真っ赤、鼻の頭も真っ赤…でも、面白かったぁ~!

 駅伝のごとく勢いで読み切りました。

 令和7年の駅伝もシード権のある大学は選手の強化を、これから本選出場を手にする大学は必至で予選を突破しなければなりません。

 あっという間に半年でありましょう。

 母校を応援するも良しですが、来年は「学生連合チーム」の応援もよろしくお願い致します!

お勧めの1冊です。