丸~く剪定されたキンモクセイ…若い芽が青い空に映えて、なんですか梅雨明けのような爽やかさを感じます。

 東京は今日も高温予報が出ていまして夏日になるとか…熱中症にならぬようにとニュースで注意を呼び掛けておりました。

 しっかりとした水分補給を考えて出掛けると致しましょう。

 今はどこでも自動販売機が備えられておりますが、わたくしが子どもだった昭和30、40年代の下町・深川は自動販売機などは設置されておりませんでした。

 あの頃だって暑い日はあったろうに水分補給はどうしていたのでしょうか?

 原っぱに水飲み場などはありませんでしたからね、外で遊んでいても、その都度ぬるい麦茶を飲みに家に帰っていたのかなぁ~

 令和の時代、地元の小中学校の生徒は水筒を持参で登校しております。

 コロナ禍の影響と熱中症対策でありましょうか?

 まだ梅雨入りも発表されていないのに、キンモクセイが咲く9月が恋しく思われます。

  

 近所に住む幼馴染みがお取り寄せしたと言う「梅」を持って来てくれました。

「少し熟れた梅を頼んだのよ。あーた今年は梅干しを漬けるって言ってたでしょ?だからサ、ついでにうちのもチョコッとこさえてよ。少し青いのは梅酒に使えるかなと思うんだけど、どぉ?」

「どぉ?ってどうなのぉ~それ!梅だけ持って来て、面倒くさいことは全部こっちに丸投げ?」

「そういう言い方をね、身も蓋もないっていうのよ!洗ったりヘタを取ったりぐらいはするわよ。塩が何パーセントとか、カビが生えないようにする焼酎の塩梅が分かんないのよ。塩と焼酎、買っておいてくれた?」

「一番・肝心なところを人にやらせるんだねぇ~」 

 しかし、さすが南高梅(なんこううめ)、なかなか大粒で良い梅であります。

 試しの意味もありますので、先ずは先に幼馴染みの梅干しを漬けるための塩漬けを仕込んで参りましょう。

 果実酒・35パーセントののホワイトリカーで梅を殺菌消毒してから、梅の重さの8パーセントの塩をまぶしてジプロックの袋に漬けてれば終わり…このまま梅雨明けまで置いておきます。

「あきらサ(幼馴染みのひとり息子・27歳)、今も梅干しのおむすび苦手なの?」

「おむすびだけじゃなくて、梅干しが苦手なんだわ。お弁当にはぜったいに梅干し入れるなって言われてる…これから暑くなるから梅干しは欠かせないんだけどねぇ」

「あーたね、27歳にもなる息子に弁当なんか作ってやることないわよ!それも美大の研究室で給料もらってないんだよね?家に家賃も食費も入れてないんでしょ?そんなに甘やかしちゃダメだよ」

「いいのよ、ひとり息子なんだから…もう親の私たちといられるのも、そうそう長くないことだしサ。食中毒が心配だから夏場はお弁当はやめにしようかな?」

「あーたの料理の腕前じゃサ、あきらはあきらで外で買って食べたいかもね」

 幼馴染みは聞こえぬ振りして梅のヘタを取っております。

「今年は赤紫蘇も一緒に漬けこんでみようと思ってるんだけど、あーたは白干しの方がいい?」

「うぅん!赤紫蘇も楽しみ。あーたの好きなように漬けて!」

 赤紫蘇が売り切れてしまわぬうちに買っておきましょう。

 梅酒に漬ける梅は青梅を選んで漬けました。

 氷砂糖は通常の量より少し多めにし甘い梅酒を目指すことに…大きなビン・2本漬け込みました。

 漬けた後の梅も甘く煮て食べたいので、旨味が出過ぎると困ると思い、梅を串で刺すことせずに丸のまま漬けます。

 3ヶ月後には飲めますが、少なくとも半年は漬け込みたいと思います。

 それまでは去年漬けた梅酒を楽しむと致しましょう。

  

 幼馴染みが我が家に来る途中、ランチボックスを買って来てくれました。

「区役所の近くでね、キッチンカーが出てたのよ。タイかベトナムだかのアジア系ランチらしいのよ」

 彩どりがきれいなボックス型ランチです。

 野菜中心でまとめられ、メインは鶏肉かな?

「ゲッ!ご飯に黒ゴマがのってるじゃん!縁起が悪いよ、黒星みたいでぇ~」

「このところ巨人、負けこんでるもんね。今3位でしょ?」

「戸郷のノーヒットノーランや吉川の逆転サヨナラ勝ちしている割には弱いんだよねぇ~腹が立ってくるわ!」

「あきらもサ、がっくり来てるよ。せっかく阿部ちゃんが監督になったのにね。もう少し強くなると思ってたけどなぁ~」

「まだこれからだよ!交流戦が終わってからジワジワと勝ち上がって行くからね!」

 黒ゴマのかかったご飯、よく噛みしめて呑み込みました。

「うわっ!この鶏肉、辛い!これは東南アジアの味付けだわよ」

「ホントだ!でも美味しい!パクチーがあってこその味だね。ビール、飲みたくなっちゃうね」

 ピリッとした青唐辛子が利いて食欲増進!

 この甘酸っぱくて辛い味付けは夏にぴったりかと思います。

 これはお弁当のおかずに合うかもしれないけど…この味付け、ちょっと複雑すぎて作るのは難しいかも?

 微かに残る梅の香り…梅雨入り前のひと仕事は終えて、なんだかホッと致しました。

 

『ひるふかき青梅が黄にそまりゆき』

(ひるふかきあおうめがきにそまりゆき)

室生犀星(むろおさいせい)