二十四節気・第7番目となる「立夏」が巡って参りました。

 と・同時に今日は「こどもの日」でもあります。

 我が町内も鯉のぼりを掲げ、子どもたちの健やかなる成長を祈っております。

 立夏に相応しく涼やかな風が吹いているのですが、今ひとつ勢いがありません。

 目刺しのような鯉でありますが、上手く風に乗ってくれればと見上げながら駅へ向かいました。

 さて…本日は友人から誘いで伝統の一戦・阪神タイガースとの試合を観戦しに東京ドームへ行って参りました。

「讀賣新聞をね、今月から入れてもらってるんだけど、その時にね、東京ドームでのチケットが抽選に当たるっていう券をもらったのよ!そしたらサ、こどもの日のディゲームが当たったのよ!あーた大の巨人ファンでしょ?一緒に行かない?」

 我らが東京読売巨人軍の試合?「行く行く!」と返事をし、心待ちにしておりました。

 友人は日経新聞社で働いておりましたが、スポーツ欄の担当でありませんでした。

 政治経済畑をずっと歩いて来ての退職なもので、彼女がプロ野球に詳しいのかも判りません。

 わたくしの亡き夫は讀賣新聞社勤めでしたので、家族全員が巨人軍の大ファンでございます。

 もちろん…讀賣新聞社に勤めていても隠れ阪神ファン、中日や広島ファンもいたことと思います。

 我が家は長く讀賣からお給料を頂き、退職金まで振り込んでもらっちゃっているので、これから生涯巨人ファンとして生きるつもりであります! 

 東京メトロ・丸の内線・大手町駅のホームで待ち合わせ…昨日の阪神戦は延長10回でサヨナラ勝ちをしてますからね、今日も大いに期待をして後楽園駅へと向かいました。

 ところが…人生何が起きるか判らぬものだと、今日改めて思い知りました!

 友人が当てたチケットは「巨人vs阪神」であったことは間違いございません。

 わたくしは当然のごとく巨人軍側の応援席だと思っていました。

「何番ゲート?」

「う~んとね…11番ゲートって書いてある」

「…へっ?11番ゲート?あちし、今までそんなところから入ったことないよ。21番の間違いじゃないの?」

 チケットを引ったくって確認したら、11番ゲートに間違いなし。

 えっ?外野ビジター席?

 東京ドームでビジターって言ったら対戦相手の応援席であります。

 ですから…今日は阪神戦なので、阪神タイガースの応援席と言うことになります。

「うぎゃぁ~!」

 だんだん11番ゲートに近づいて行きますと、周りは阪神タイガースのユニフォームを着ているファンで埋め尽くされているじゃないですか!

 わたくしは巨人軍のチームカラーであるオレンジタオルを首に巻き、オレンジのメガホンをバッグに入れております。

 巨人軍のホームグランドだと言うのに、11番ゲートなんて怖くて入れませんよ!

 恐る恐る席に着いたものの、周りはすべて阪神ファン…それも超・熱烈のファンであるらしい?

 我が東京読売巨人軍の応援席は…はるか向こう側!

「あっちに行きたいよぉ~汗あーたってサ、阪神ファンだったの?」

「どっちでもないよ。野球だなぁ~って観てるんだもん。日本代表はごちゃ混ぜだったからサ、どこのチームを応援するってより日本を応援してたもん」

 ジャイアンツガール・ヴィーナスが踊っているのに、阪神側の席はシーン…ダウン

 わたくし…そぉっと首のオレンジタオルを外しました。

 前の席には「よみうり倒せ~」と刺しゅうされたユニフォームを着ている人はいるわ、後ろの席では小さな子どもを抱っこして家族全員で応援してるわ…周りは阪神ファンのみ!

「あーたサ、本当に讀賣新聞、契約したの?こんな席ってどんな讀賣新聞を購読してんのよ!」

 これ、ぜんぶ小声で話しております…阪神ファンに聞かれでもしたら大変ですからね。

 14時、プレイボール!

 と同時に、ドンドンと太鼓の音が耳をつんざきました!

 トランペットと言うよりラッパの音も聞こえてきます。

 旗が…阪神タイガースの旗が振られているぅ~あせる

 応援のリーダーが拍子を取っているのが判るほどの席!

 腹にビンビン響いて参ります。

 花火が上っているみたいであります。

 これが我らが巨人軍でしたら喜びに満ちた応援ができますが、阪神タイガースですよっ!

 もうね、先制点は取られるわ…巨人の選手を貶すわで生きた心地が致しませんでした。

 然もデッドボールがあって…そのブーイングの凄まじいこと!

「もう無理!ここにはいられない!立ってでもいいから巨人の方へ行こうよ」

「こんな体験、もうできないよ!楽しもうよ。阪神ファンの動きって一糸乱れぬって感じで面白いじゃん!」

 わたくし…普段は元気が出る黄色が大好きであります。

 然しながら、今日ほどい黄色に目がチカチカした日はございません。

「あぁ…巨人軍の旗が振られているぅ~」

 ヒットを打った選手を称えることもできません。

 「闘魂こめて」も心の中で叫びながら歌いました。

 試合の流れは完全に阪神が握ってしまっています。

 わたくし…トイレに行く振りをして巨人軍・応援席に駆け付けました!

 これこれ!このゴーゴーレッツーゴーの掛け声!

 もう体が自然とリズムに取って応援体制に入っています。

 オレンジ色に囲まれている、この安心感!

 巨人軍にも太鼓やトランペットの音が聞こえますが、この品の良さ!

 もう堪りません!

 大声を出しての声援です!

 ストレス解消できたぁ~

 友人にはメールで「58番入り口で巨人を応援してる」と打っておきました。

  

「4:2で負け散った」…首位・阪神との3連勝を逃してしまいました。

 帰りは友人と後楽飯店で夕食を共にしました。

「あーたがこんなに巨人軍のファンだったとは思わなかったわぁ~生き返った魚みたいに応援してたねぇ~さすが讀賣だわ」

「今度は1塁側の席、当ててよ!」

「だいたいね、タダで観られたんだから、もっと感謝してよ!勝利のカンパイも出来なかったね」

「余計なことは言わんでいい!」

 家に帰って来て気が付いたんですが…右の耳が難聴になったような?

 音が薄紙を通して聞こえるような不思議な感じです。

 あの太鼓とラッパの音でしょうか?

 ひと晩寝れば治るかなぁ~

 貴重な体験をした「こどもの日・立夏」でありました!